株価指数

日経平均の算出方法と問題点(+2021年の算出方法変更)の解説

2021/7/7

2021年10月から日経平均の算出方法が変わります。 本年5月に日本経済新聞社は変更点をまとめたドキュメントを公開しパブリックコメントを実施。 7月5日にパブリックコメントへの回答と変更後の算出要領を公開しました。 本稿では、現在の日経平均の算出方法・問題点を解説したうえで、算出要領の変更点について解説します。 現行の算出方法の解説と問題点にもかなり文字数を使っていますので、変更点のみに注目している方は↓の目次を活用してください。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 現行の算出方法と問題点1.1 202 ...

ReadMore

株式投資

パナソニックのテスラ株売却がすぐに報じられなかった理由(IFRS包括利益の罠)

2021/6/26

2021年6月25日、パナソニックが同社が保有するテスラ株式を2021年3月末までに全売却していたと報じられました。 パナソニックは2010年にEV用電池事業に関する関係強化を目的としてテスラ株を取得しており、当初の取得金額24億円に対し、今回の売却額は4,000億円程度と報じられています。 テスラは昨年からのコロナ相場で話題の中心となった銘柄の1つであり、本件は大いに注目されました。また、25日のパナソニック株は前日比4.9%と大幅に上昇しました。 日本経済新聞  187 Tweets 140 ...

ReadMore

株価指数 株式投資

日経平均先物と現物の日経平均の価格乖離(配当と金利と貸株)

2021/3/25

本稿では現物の日経平均株価と日経平均先物の価格乖離がなぜ起こるかについて解説します。 実際の数値例を出しますので、教科書的な知識と現実のブリッジとして読んでいただけると書いた甲斐があります。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 日経平均と日経平均先物の価格乖離1.1 配当と金利と貸株1.2 配当と短期金利でどの程度説明できるか2 おわり 日経平均と日経平均先物の価格乖離 現物株225銘柄から算出される日経平均株価(株価指数)と、日経平均株価を原資産とした先物である日経平均先物の価格は、通常は一致しません ...

ReadMore

株式投資

金利上昇による株価下落でグロース株が特に不利な理由

2021/3/5

本稿では、金利上昇で株価が下落する理由を解説します。 3年前にも似たようなことを書いていますが、現在の局面にあてはめて書きます。 せっかく金利と株価の関係に注目が集まっているのに私の過去記事にはさして流入が無いので悲しいのです。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 金利上昇で株価が下がるメカニズム1.1 金利と株価の関係1.2 配当割引モデルで考える1.2.1 債券への資金流入⇛期待収益率(割引率)の上昇1.2.2 企業業績への影響⇛予想成長率の低下(業種によっては上昇)2 グロース株と金利上昇3 おわ ...

ReadMore

株式投資

東証の流通株式時価総額の定義変更で何が変わるか

2021/2/18

2022年4月に東京証券取引所が市場区分の再編を行います。 現行の市場第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する計画です。 この中で、東証が上場審査と上場廃止基準で使用する「流通株式」の定義が見直されます。 これは、2019年に実施された金融庁の審議会でも言及されていましたが、2020年12月に東証から変更後の具体的な計算方法が公表されました。 本稿ではこの「流通株式」の定義の変更について、現在の基準との違い等の観点から解説します。 東証の資料 ...

ReadMore

投資信託

アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスとは

2021/2/5

金融業界では「デューデリジェンス」という言葉が2つの意味で使われます。 もともとDue Dilligenceという言葉は「適切な注意義務を果たす」「適正な手続きを踏む」というニュアンスの言葉です。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 M&Aにおけるデューデリジェンスと資産運用におけるデューデリジェンス2 アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスの全体像2.1 資産運用のデューデリは誰がするか2.2 資産運用のデューデリのフロー2.3 資産運用のデューデリの評価項目2.3.1 定量評価2.3 ...

ReadMore

株価指数

全世界株指数にはREITが含まれているがTOPIXにはJ-REITが含まれない

2021/1/28

本稿では、世界のメジャーな株価指数はREITを含むが、日本で算出されている日経平均やTOPIXにはなぜかJ-REITが含まれていないという問題を掘り下げます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 S&P500もMSCI ACWIもREITを含む2 TOPIXや日経平均はなぜかREITを含まない2.1 J-REITは名実ともに投資法人(ファンド)なのだ2.2 US-REITはファンドっぽくない3 おわり 青(J-REIT)は藍(US-REIT)よりも青し(Investment Trust)? S& ...

ReadMore

株価指数

バリュー株指数とグロース株指数の計算方法(PBR等で分類)

2021/1/27

本稿では、バリュー株指数やグロース株指数の算出方法を解説します。 日本の投資家が指標として見ることが多い、TOPIX(東証)、ラッセル、MSCIの指数については具体的な算出方法にも触れます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 バリュー株とグロース株2 「バリュー株指数」と「グロース株指数」2.1 バリュー銘柄、グロース銘柄、そして中間の銘柄2.2 TOPIXのバリューインデックスとグロースインデックス2.3 ラッセルのValue指数とGrowth指数2.4 MSCIのValue IndexとGrowt ...

ReadMore

株価指数

時価総額世界1位のサウジアラムコは指数にどれくらい入っているか(エマージング)

2020/12/7

ちょうど1年前に、サウジアラビアの国営石油会社のサウジアラムコの上場がニュースになっていました。 この時は「時価総額世界最大!アップルやマイクロソフトを上回る!」という報道が多かったので「発行済株式の1.5%しか売り出さない銘柄を全株数ベースの時価総額で騒ぐのはおかしいでしょ」という記事を書きました。 今回はフォローアップとして、アラムコの株数が代表的な株価指数の算出でどう扱われているかをまとめます。 アラムコのMSCIの浮動株比率は1%強 最初にMSCIサウジアラビア指数を見ます。 2020年11月末ベ ...

ReadMore

ファイナンス理論

ビットコインと伝統資産の相関関係(株式、債券、ゴールド、ドル)

2020/12/6

2020年11月末、米ドル建てのビットコイン価格は19,000ドルを超え、2017年末以来の最高値を更新しました。 円建てでも現在200万円近辺で推移しています。 ビットコインに限れば、2017年末から2018年初にかけて参入した出川組のほとんどを救う水準まで回復したことになります。 ※出川組⇛出川哲朗が出演するコインチェックのテレビCMが放映されていたのが、ちょうどビットコインが前回高値をつけた2017年12月頃でした。「兄さんが知らないはずないだろう!」ってやつ。 良い機会なので、ビットコインと伝統資 ...

ReadMore

株式投資

MSCIの株価指数の特徴(モルスタとの関係、ACWI、IMI、正しく言える?)

公募投信や確定拠出年金(401k)で外国株ファンドを見るようになり、初めてMSCIという会社を知った方は結構多いと思います。グローバルな指数算出会社です。

機関投資家にも個人投資家にも超有名な会社ですが、日本語で検索すると、未だに「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社および、同社が公表する株価指数のこと。」という古い情報が結構出てきます。

当記事では、MSCIの株価指数の特徴について解説します。
特に、10年以上同社の指数を仕事や個人の資産運用で見ていて感じた、重要だけどわかりにくい点について重点的に解説します。

会社としてのMSCI

まず初めに、会社としてのMSCIを見ていきましょう。指数に関する情報のみをお探しの方は飛ばしてください。

会社概要

MSCIは、グローバルな指数算出会社です。国ごとの指数だけでなく、地域(欧州、アジア)や全世界(World、ACWI)など、複数の国を網羅した指数を算出しているのが特徴です。
ニューヨーク証券取引所に上場しており、日本人でも楽天証券等の米国株を取扱う証券会社から買うことができます。(ティッカー:MSCI)

https://finance.yahoo.com/quote/MSCI/

ビジネスの主軸はインデックス事業で、指数の詳細情報を有料で販売したり、指数に連動するファンドからライセンス料を得ています。また、ポートフォリオ分析ツールのBarra(バーラ)のような、機関投資家向けの分析ツールの提供も大きな収益源です。
上場企業なので決算を公表していますが、2018年通年の営業利益率(Operating Margin)は47.9%と極めて収益性が高いです。

沿革

同社がアニュアルレポート等で公式に開示している会社の沿革は以下のとおりです。

1969 運用会社のキャピタル・グループ・インターナショナルがグローバルな株式指数を開発

1998 モルガン・スタンレーとキャピタル・グループ・インターナショナルが出資し、Morgan Stanley Capital International(MSCI)社を設立。

2004 Barraを買収

2007 MSCIとして株式公開を実施

2008 キャピタル・グループ・インターナショナルが持ち分を放出

2009 モルガン・スタンレーが持ち分を放出

なお、他のソースも合わせてみると、MSCIの名称を使い始めたのは1998年のMSCI社の設立よりも早く、1986年にモルスタがキャピタルから指数算出権を取得し、MSCIのブランドで指数を発表するようになったそうです。

2007年のIPOと、2009年のモルスタの持ち分放出を経て、現在の同社は資本系列としては独立系です。2018年の株主総会の招集通知(Proxy Statement)を見ても、大株主(5%以上)の一覧にモルスタの名前は出てきません。そのため、MSCIを未だに「モルガン・スタンレー傘下」と記載している説明があったら、10年間情報をアップデートしてないか、実は良く分かってない可能性があります。社名も現在はMSCI Inc.が正式な表記です。

http://ir.msci.com/annuals-and-proxies

 

指数の特徴

続いて、MSCIの株価指数の特徴について見ていきます。

「先進国」「エマージング」「フロンティア」

MSCIの指数の最も大きな特徴は、世界の株式市場を、3種類に分類していることです。

先進国(Developed Markets):
北米(米国、カナダ)、西欧(ドイツ、イギリス、フランス等)、アジア(オーストラリア、日本、シンガポール等)

新興国(Emerging Markets):
南米(ブラジル、メキシコ等)、東欧・アフリカ(ロシア、ポーランド、南アフリカ等)、アジア(中国、インド、韓国、台湾等)

フロンティア(Frontier Markets):
クウェート、アルゼンチン、ベトナム等

このうち、一般的な投資家の投資対象になるのは先進国と新興国(エマージング)です。

そして、MSCIの国をまたぐ指数も、この先進国とエマージングの枠組みで地域をくくっていることが多いのです。
以下では、具体的な指数を挙げます。日本の投資家の投資対象になりやすいものは背景を黄色にしました。

※エマージングマーケットについては詳しくはこちらも御覧ください。

https://in-invest.net/2018/02/14/emerging01/

先進国のみの指数

MSCI World Index:「全ての先進国」を含む株価指数です。

MSCI KOKUSAI Index:「全ての先進国から日本を除いたもの」で構成される指数です。日本人投資家から見た「外国株」を表す指数として、古くから公的年金などの日本の機関投資家が、外国株式運用のベンチマークに採用しています。

MSCI EAFE Index:「全ての先進国から北米(米国・カナダ)を除いたもの」で構成される指数です。アメリカ人投資家から見た「外国株」なので需要は高く、iSharesのMSCI EAFE連動ETF(ティッカー:EFA)は、ETFの運用資産額(AUM)ランキングでトップ10に入ります。

エマージングを含む指数

MSCI ACWI:「全ての先進国と新興国」で構成されます。「世界中の株式市場」と考えて良いです。
ACWIはAll Country World Indexの頭文字を取ったもので、最近では「ACWI」表記がオフィシャルにも使われています。日本人には「アクウィ」で通じますが、外国人には通じたり通じなかったりします。「All Country」は、MSCIが指数の命名にあたって「先進国と新興国の両方を含む」という意味で使っている言葉です。

MSCI ACWI ex Japan(除く日本)、MSCI ACWI ex USA(除く米国):それぞれ、KOKUSAIとEAFEに新興国を加えたものです。(正確に言えばEAFEとACWI ex USAはカナダを含むかどうかも違います。)

MSCI Emerging Markets Index「全ての新興国」を含む指数です。以前はキワモノ・オルタナティブ扱いでしたが、高い成長性や、危機時以外は先進国株と違った動きをすることが見込まれて、現在では多くの投資家がアロケーションに組み込んでいます。ETFだと、iSharesのEEMが有名ですね。バンガードがベンチマークを変更するまでは、VWOもこの指数に連動する商品でした。

世界の株式市場の時価総額

少し脱線しますが、MSCIの指数は浮動株調整後の時価総額加重平均で、国ごとのウェイト(構成割合)も各国市場の時価総額をベースにしています。したがって、ACWIの国ごとの構成割合は、世界の株式市場における各国の比重であると考えてよいです。

特に、米国60%弱、日本8%程度、エマージング10%強、欧州アジア先進国等が残り20%程度という数字は覚えて置いても良いと思います。

※株価指数の浮動株調整等のトピックについてはこちらの記事もどうぞ。

https://in-invest.net/2016/09/25/index2/

GICSの業種分類

MSCIとS&Pは、GICS(Global Industry Classification Standard)という業種分類を使っています。分類に4段階のレベルがあるのですが、ファンドの運用報告書だと、第1レベルの11業種の分類で業種別のウェイトが説明されることが多いです。

GICS Level1:エネルギー、素材、資本財、一般消費財サービス、生活必需品、ヘルスケア、情報技術、コミュニケーションサービス(以前の通信とメディア等)、公益、金融、不動産

これも掘り下げると面白いです。別記事で詳しく書いていますので興味がある方はこちらの記事もどうぞ。

https://in-invest.net/2019/02/12/gics_gyousyu01/

IMI指数について

MSCIでは、通常、各国の株式市場時価総額の85%をカバーするように指数構成銘柄を選定しています。この85%基準で構成される指数をStandard Indexと読んでいますが、それとは別に各国市場の時価総額の99%をカバーすることを目的にしたIMI(Investable Market Index)という指数も算出しています。
99%をカバーするので、IMI指数はスタンダード指数よりも銘柄数が多く、小型株も含む指数になります。

EEMとIEMGの違いはIMIかどうか

有名ところでは、エマージング株ETFのEEMとIEMGの違いは指数がIMIかどうかです。両方ともBlackrockのiSharesブランドのETFですが、EEMはMSCIエマージングがベンチマークであり、後発のIEMGはMSCIエマージングIMIがベンチマークです。
IEMGは2012年設定の比較的新しい商品ですが、経費率が0.14%と、EEM(0.67%)よりも大幅に安いため、現在では運用規模ではEEMを上回るまでになりました。

なお、両指数のリターンですが、MSCIのファクトシートによると、1月末基準の長期リターンは以下のとおり。

  MSCI EM MSCI EM IMI

過去10年リターン
(年率)

9.66% 9.85%

2000年末からのリターン
(年率)

9.11% 9.12%

IMIに明確なエッジがあるというよりは、小型株が優位な市況かどうかに依ると言えそうです。もちろん、EEMとIEMGを検討するのであれば、リターン差を考慮しても、無視できないほどの運用手数料の差があります。

 

おわり

以上です。401kの運用などで外国株ファンドを見ることになり、MSCIの株価指数について詳しく知りたいと思った方などの参考になれば幸いです。

  • この記事を書いた人

ton

2007年から運用会社や金融機関の運用部門で株を中心に見てきました。 現在は運用業務からは離れていて運用は自己資金のみ。 投信の請求目論見書や指数の算出要領からプロダクトの中身に迫るのが好き。

-株式投資
-, , , ,

© 2021 儲からない投資の知識