株式投資

MSCIの株価指数の特徴(モルスタとの関係、ACWI、IMI、正しく言える?)

公募投信や確定拠出年金(401k)で外国株ファンドを見るようになり、初めてMSCIという会社を知った方は結構多いと思います。グローバルな指数算出会社です。

機関投資家にも個人投資家にも超有名な会社ですが、日本語で検索すると、未だに「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社および、同社が公表する株価指数のこと。」という古い情報が結構出てきます。

当記事では、MSCIの株価指数の特徴について解説します。
特に、10年以上同社の指数を仕事や個人の資産運用で見ていて感じた、重要だけどわかりにくい点について重点的に解説します。

会社としてのMSCI

まず初めに、会社としてのMSCIを見ていきましょう。指数に関する情報のみをお探しの方は飛ばしてください。

会社概要

MSCIは、グローバルな指数算出会社です。国ごとの指数だけでなく、地域(欧州、アジア)や全世界(World、ACWI)など、複数の国を網羅した指数を算出しているのが特徴です。
ニューヨーク証券取引所に上場しており、日本人でも楽天証券等の米国株を取扱う証券会社から買うことができます。(ティッカー:MSCI)

https://finance.yahoo.com/quote/MSCI/

ビジネスの主軸はインデックス事業で、指数の詳細情報を有料で販売したり、指数に連動するファンドからライセンス料を得ています。また、ポートフォリオ分析ツールのBarra(バーラ)のような、機関投資家向けの分析ツールの提供も大きな収益源です。
上場企業なので決算を公表していますが、2018年通年の営業利益率(Operating Margin)は47.9%と極めて収益性が高いです。

沿革

同社がアニュアルレポート等で公式に開示している会社の沿革は以下のとおりです。

1969 運用会社のキャピタル・グループ・インターナショナルがグローバルな株式指数を開発

1998 モルガン・スタンレーとキャピタル・グループ・インターナショナルが出資し、Morgan Stanley Capital International(MSCI)社を設立。

2004 Barraを買収

2007 MSCIとして株式公開を実施

2008 キャピタル・グループ・インターナショナルが持ち分を放出

2009 モルガン・スタンレーが持ち分を放出

なお、他のソースも合わせてみると、MSCIの名称を使い始めたのは1998年のMSCI社の設立よりも早く、1986年にモルスタがキャピタルから指数算出権を取得し、MSCIのブランドで指数を発表するようになったそうです。

2007年のIPOと、2009年のモルスタの持ち分放出を経て、現在の同社は資本系列としては独立系です。2018年の株主総会の招集通知(Proxy Statement)を見ても、大株主(5%以上)の一覧にモルスタの名前は出てきません。そのため、MSCIを未だに「モルガン・スタンレー傘下」と記載している説明があったら、10年間情報をアップデートしてないか、実は良く分かってない可能性があります。社名も現在はMSCI Inc.が正式な表記です。

http://ir.msci.com/annuals-and-proxies

 

指数の特徴

続いて、MSCIの株価指数の特徴について見ていきます。

「先進国」「エマージング」「フロンティア」

MSCIの指数の最も大きな特徴は、世界の株式市場を、3種類に分類していることです。

先進国(Developed Markets):
北米(米国、カナダ)、西欧(ドイツ、イギリス、フランス等)、アジア(オーストラリア、日本、シンガポール等)

新興国(Emerging Markets):
南米(ブラジル、メキシコ等)、東欧・アフリカ(ロシア、ポーランド、南アフリカ等)、アジア(中国、インド、韓国、台湾等)

フロンティア(Frontier Markets):
クウェート、アルゼンチン、ベトナム等

このうち、一般的な投資家の投資対象になるのは先進国と新興国(エマージング)です。

そして、MSCIの国をまたぐ指数も、この先進国とエマージングの枠組みで地域をくくっていることが多いのです。
以下では、具体的な指数を挙げます。日本の投資家の投資対象になりやすいものは背景を黄色にしました。

※エマージングマーケットについては詳しくはこちらも御覧ください。

https://in-invest.net/2018/02/14/emerging01/

先進国のみの指数

MSCI World Index:「全ての先進国」を含む株価指数です。

MSCI KOKUSAI Index:「全ての先進国から日本を除いたもの」で構成される指数です。日本人投資家から見た「外国株」を表す指数として、古くから公的年金などの日本の機関投資家が、外国株式運用のベンチマークに採用しています。

MSCI EAFE Index:「全ての先進国から北米(米国・カナダ)を除いたもの」で構成される指数です。アメリカ人投資家から見た「外国株」なので需要は高く、iSharesのMSCI EAFE連動ETF(ティッカー:EFA)は、ETFの運用資産額(AUM)ランキングでトップ10に入ります。

エマージングを含む指数

MSCI ACWI:「全ての先進国と新興国」で構成されます。「世界中の株式市場」と考えて良いです。
ACWIはAll Country World Indexの頭文字を取ったもので、最近では「ACWI」表記がオフィシャルにも使われています。日本人には「アクウィ」で通じますが、外国人には通じたり通じなかったりします。「All Country」は、MSCIが指数の命名にあたって「先進国と新興国の両方を含む」という意味で使っている言葉です。

MSCI ACWI ex Japan(除く日本)、MSCI ACWI ex USA(除く米国):それぞれ、KOKUSAIとEAFEに新興国を加えたものです。(正確に言えばEAFEとACWI ex USAはカナダを含むかどうかも違います。)

MSCI Emerging Markets Index「全ての新興国」を含む指数です。以前はキワモノ・オルタナティブ扱いでしたが、高い成長性や、危機時以外は先進国株と違った動きをすることが見込まれて、現在では多くの投資家がアロケーションに組み込んでいます。ETFだと、iSharesのEEMが有名ですね。バンガードがベンチマークを変更するまでは、VWOもこの指数に連動する商品でした。

世界の株式市場の時価総額

少し脱線しますが、MSCIの指数は浮動株調整後の時価総額加重平均で、国ごとのウェイト(構成割合)も各国市場の時価総額をベースにしています。したがって、ACWIの国ごとの構成割合は、世界の株式市場における各国の比重であると考えてよいです。

特に、米国60%弱、日本8%程度、エマージング10%強、欧州アジア先進国等が残り20%程度という数字は覚えて置いても良いと思います。

※株価指数の浮動株調整等のトピックについてはこちらの記事もどうぞ。

https://in-invest.net/2016/09/25/index2/

GICSの業種分類

MSCIとS&Pは、GICS(Global Industry Classification Standard)という業種分類を使っています。分類に4段階のレベルがあるのですが、ファンドの運用報告書だと、第1レベルの11業種の分類で業種別のウェイトが説明されることが多いです。

GICS Level1:エネルギー、素材、資本財、一般消費財サービス、生活必需品、ヘルスケア、情報技術、コミュニケーションサービス(以前の通信とメディア等)、公益、金融、不動産

これも掘り下げると面白いです。別記事で詳しく書いていますので興味がある方はこちらの記事もどうぞ。

https://in-invest.net/2019/02/12/gics_gyousyu01/

IMI指数について

MSCIでは、通常、各国の株式市場時価総額の85%をカバーするように指数構成銘柄を選定しています。この85%基準で構成される指数をStandard Indexと読んでいますが、それとは別に各国市場の時価総額の99%をカバーすることを目的にしたIMI(Investable Market Index)という指数も算出しています。
99%をカバーするので、IMI指数はスタンダード指数よりも銘柄数が多く、小型株も含む指数になります。

EEMとIEMGの違いはIMIかどうか

有名ところでは、エマージング株ETFのEEMとIEMGの違いは指数がIMIかどうかです。両方ともBlackrockのiSharesブランドのETFですが、EEMはMSCIエマージングがベンチマークであり、後発のIEMGはMSCIエマージングIMIがベンチマークです。
IEMGは2012年設定の比較的新しい商品ですが、経費率が0.14%と、EEM(0.67%)よりも大幅に安いため、現在では運用規模ではEEMを上回るまでになりました。

なお、両指数のリターンですが、MSCIのファクトシートによると、1月末基準の長期リターンは以下のとおり。

 MSCI EMMSCI EM IMI

過去10年リターン
(年率)

9.66%9.85%

2000年末からのリターン
(年率)

9.11%9.12%

IMIに明確なエッジがあるというよりは、小型株が優位な市況かどうかに依ると言えそうです。もちろん、EEMとIEMGを検討するのであれば、リターン差を考慮しても、無視できないほどの運用手数料の差があります。

 

おわり

以上です。401kの運用などで外国株ファンドを見ることになり、MSCIの株価指数について詳しく知りたいと思った方などの参考になれば幸いです。

SNSとブログランキング

↓のアイコンからTwitterのシェアやブログランキングのクリックをしていただけると大変励みになります!



株式ランキング

投資信託ランキング

-株式投資
-, , , ,