本稿では、私がiOSのデバイスを10年使ってたどり着いた、iOS、iPad OSの株価アプリで目当てのインデックス等を探すためのコツなどを紹介する。
iPhoneとiPadには、標準で株価を表示するアプリが入っている。
ウィジェット(ホーム画面をスワイプすると左側から出てくる領域)にも対応しており、株価ウィジェットには、アプリ上で「ウォッチリスト」に登録した銘柄が表示される。
※ちなみに、iPadにもApple純正株価アプリが付くようになったのは2018年のiOS12からでわりと最近。
ここには株価だけでなく株価指数や為替レートも表示できるが、検索欄に名前を入れてもうまく出ない場合が結構あるので参考にして欲しい。
2020年10月19日追記【令和最新版アップデート】
この記事は当初2019年1月時点の株価アプリの挙動をもとに作成した。
当時、米国ETFや海外株価指数は名前やティッカーで検索してもヒットせず、言語設定を英語に変更する等の対処が必要だったのでその説明を中心に記載していた。
現時点では、米国上場銘柄や海外の指標も名前で検索すればたいていのものが出てくるため、それに合わせた記載とした。
また「iOS14にしたら銘柄が減って困ってる!」という人はこちらが参考になると思う。
iOS14では株価ウィジェットで表示できる銘柄数が最大6銘柄に減ってしまった(iOS13では最大12銘柄表示できた。)。
リンク先の記事では、挙動の検証と新規に追加された「銘柄ウィジェット」を使って7銘柄以上の指標をウィジェットで配置する方法も記載している。
目次(クリックで各項目にジャンプ)
基本:iOSの株価アプリでできること
iOSの株価アプリでできることはシンプルだ。
・株式の銘柄等を検索し、株価推移とPERや配当利回り等の基礎的な指標を見ることができる
・お気に入りの銘柄をウォッチリストに保存できる
・ウィジェットではウォッチリストの先頭の数名柄(iOS14では最大6銘柄)の直近の価格が見られる
・株価以外にも日経平均やS&P500などの内外の主要株価指数や為替レートが表示できる
・リアルタイムではないので取引の参考には不向き(ディレイの時間は5分から15分程度でカテゴリによってまちまち)
現在では、日米の上場株式であれば、銘柄名称、4桁の銘柄コード(日本株)、ティッカー(米国株)で検索すれば大抵のものは検索結果に出る。
以下は、iOS14の株価ウィジェットのスクリーンショットだ。
ウォッチリストの上から順に6銘柄が表示される。
株価指数、米10年債利回り、VIX
Appleの純正株価アプリでは、株式以外のデータは、伝統的にデータ提供元のYahooファイナンスのコードが使われている。
例えば、日経平均は^N225、S&P500指数は^GSPCである。
※^は「キャレット」や「ハット」と読む。Excelでべき乗に使う記号なので、私はずっと「べき」と読んでいたが他の人には通じないので注意。
とはいえ、株式と同様に、現在では多くの株価指数等が名前から検索可能だ。
検索欄に「S&P」と入力すれば候補にS&P500、「NASDAQ」でNASDAQ総合(NASDAQ Composite)が見つかる。
株価指数以外でも「Treasury」で米国10年債利回り(^TNX)、「VIX」でVIX指数(^VIX)が検索可能である。
名前で検索して候補に表示されない場合は、米国YahooFinanceで使われているコードを特定して、それを打ち込むというのがiOSの株価アプリを使う場合の伝統的な作法でしたが、今では必要なシチュエーションは減っている。
参考までに、需要がありそうな株価指数(&VIXと米10年債利回り)のコードを以下に記載する。
ダウ平均 | ^DJI |
S&P500指数 | ^GSPC |
ナスダック総合指数 | ^IXIC |
ナスダック100指数 | ^NDX |
米国10年債利回り | ^TNX |
VIX指数 | ^VIX |
日経平均 | ^N225 |
上海総合指数(中国) | 000001.SS |
ハンセン指数(香港) | ^HSI |
SENSEX30指数(インド) | ^BSESEN |
DAX指数(ドイツ) | ^GDAXI |
FTSE100指数(イギリス) | ^FTSE |
為替
為替レートは、名前で検索するとやや難がある。
例えば、豪ドル/円の為替レートが目当てで"australian dollar"で検索すると、先頭に豪ドル/米ドルの為替レートが表示され、それ以外には豪ドルがらみの先物やETFが表示される。
為替レートは、ISOの3文字の通貨コードの組み合わせ(FX会社等でも使われる通貨ペア)に=Xをつけたものがアプリ内でコードとして使われているため、これを直接検索欄に入力する方が目的にたどり着きやすい(ドル円だけ少し特殊)。
日本の投資家の関心が高いものを以下に記載する。
ドル円 | JPY=X |
ユーロ円 | EURJPY=X |
ユーロドル | EURUSD=X |
ポンド円 | GBPJPY=X |
豪ドル円 | AUDJPY=X |
見られないものはETFで代替するか他のアプリ
2008年に第二世代iPod touchを買ってから10年間試行錯誤を重ねて来たが、以下の指数や指標は株価ウィジェットだと表示できなかった。
これらについては、流動性の高いETFで代替するか、別のアプリで見たほうが良いと思う。
MSCIの指数
MSCIが算出する株価指数、特にMSCI KOKUSAI、MSCI Emerging、MSCI ACWIは連動するインデックスファンドを保有している人が多く、株価アプリで見たい人も多いと思う。
私もそのクチなので2008年に第二世代iPod Touchを入手したときすぐに試した。だが、MSCIの指数は12年間どう頑張っても出てこなかった。
そもそもMSCIの指数はYahooFinanceに出てこないので、2社間に契約が無いのだと推測する。
そのため、MSCIの指数については、流動性の高いETFで代替するのが無難な解決方法だ。
私もMSCI Emergingの代替として、EEMをずっとウォッチリストに登録している。
KOKUSAIやWorldはあまり流動性の高いETFが無いため、割り切って日本・新興国含む全世界を見ても良い。または、厳密にMSCIにこだわらず、FTSEの指数をベンチマークにしているVanguardのETFで代用しても、市況をみるだけなら大差無い。
新興国株 | EEM(MSCI EM)、VWO(FTSE EM) |
全世界(新興国含む) | ACWI(MSCI ACWI)、VT(FTSE全世界) |
冒頭に記載のとおり、かつては米国上場銘柄を検索するために端末の言語設定を英語にする必要がある時期もあったが、現在では名前かティッカーで検索すれば基本的に見つかるようになっている。
TECL(テックレバ3倍ETF)やHYG(ハイイールド債ETF)のような尖った銘柄もティッカーから検索できる。
金利
上で米国10年債利回りは^TNXで表示できると書いたが、それ以外の金利は株価アプリではうまく出ない。
日本やドイツの金利(国債利回り)を見たい時は、iOS純正株価アプリではなく、他のサービスを使う方が良いと思う。
私は代替手段として、現在はCNBCのアプリやウェブサイトを参照している。
かつてはBloombergの無料アプリを使っていたが、こちらは2018年くらいから債券利回りの情報がかなり削られてしまった。
コモディティ(商品)
商品価格では、WTI原油や金の価格をウォッチしたい人が多いと思う。
現在は「CL=F」でWTI原油先物、「GC=F」で金先物価格が表示される。
この2つは、直近限月の先物の価格を限月交代のたびにつなぎ合わせた「つなぎ足」だ。Bloombergの「CLA」や普段ニュースで見ている先物価格も同様の調整がされている。
指標として価格動向を見る上ではつなぎ足のチャートはたいへん有用だが、現実の原油ETFのリターンはつなぎ足のチャートとは大きく異なるため、投資対象として見るのであれば原油ETFの価格も合わせてウォッチすべきだ。
また、以下のAppbankの記事にあるように株価アプリでも限月を指定して表示させることも可能である。
例えば、WTI原油先物の2019年2月限(ぎり)の場合は、CLG19.NYMというコードである。
Gが2月限という意味で、この部分が限月ごとに異なる(1月がF、2月がG、3月がH、・・・)。
筆者が見た限りではBloombergのCL1に該当するような「常に直近限月を参照するティッカー」は無いようだ。
TOPIXと東証REIT指数
TOPIXは、かつては998405.Tというコードで出て来たが、執筆時点ではデータが表示されない。いつから表示されなくなったか詳細はわからない。以前は確かに表示されていたと思うのだが。
そのため、TOPIXとについては日経平均(^N225)か流動性の高いTOPIX連動ETF(1306等)で代替するほか無いと思う。
TOPIXだけでなく東証REIT指数も表示できないため、東証・JPXの意向なのかもしれない。
そうであれば、このようなせこい情報の出し惜しみは、投資対象としての日本株の魅力を低下させる愚行だと考える。
TOPIXという指数は、日本株市場全体のプロキシーであり、日本株への投資成果を測るベンチマークであり、それ自体「日本株全体」として投資対象となるアセットクラスでもある。指数算出者の著作権は適切に保護されるべきだが、出し惜しみすれば誰からも使われず支持されず価値を損なう。
おわり
以上です。
iOSの純正株価アプリ(特にウィジェット)は無駄がないデザインで見やすく、サードパーティ製のアプリも一長一短あるため、試行錯誤している人も少なくないと思う。本稿の内容が参考になれば嬉しい。