本稿では、私がiOSのデバイスを10年使ってたどり着いた、iPhone、iPadの株価アプリで目当てのインデックス等を探すためのコツなどを紹介します。
iOS純正株価アプリは、株価だけでなく株価指数や為替レート等も表示できますが、検索欄に名前を入れてもうまく出ないことがあります。
最初に書いたのは2019年の初めですが、定期的にアップデートしているので今でも使える内容になってます。
2022年10月の更新→先物、金利の項目の整理など
また、iOS16で追加されたロック画面ウィジェットについて以下の記事で詳しく記載してます。
iPhoneのロック画面に株価アプリを表示する(iOS16)
2020年10月の更新→日本語設定でも米国株が検索可能になったことの反映など
経緯メモ:この記事を書いた2019年1月時点では、米国ETFや海外の株価指数は名前やティッカーで検索してもヒットせず、言語設定を英語に変更する等の対処が必要だった。
いつの間にか米国上場銘柄や海外の指標も名前で検索すればたいていのものが出てくるため、それに合わせた記載とした。
また、iOS14で株価ウィジェットで表示できる銘柄数が最大6銘柄に減ってしまった(iOS13では最大12銘柄)。
以下の記事では新規に追加された「銘柄ウィジェット」を使って7銘柄以上の指標をウィジェットで配置する方法などを書いています。
目次(クリックで各項目にジャンプ)
基本:iOSの株価アプリでできること
iPhoneとiPadには標準で株価を表示するアプリが入っている。
ホーム画面やロック画面(iOS16~)のウィジェットにも対応しており、株価ウィジェットにはアプリの「ウォッチリスト」に登録した銘柄の株価が表示できる。
※iPadにもApple純正株価アプリが入るようになったのは2018年のiOS12からでわりと最近。
iOSの株価アプリでできることはシンプルだ。
・株式/ETFを検索し、株価推移と基礎的な指標(PERや配当利回り等)を確認する
・お気に入りの銘柄をウォッチリストに保存できる
・ホーム画面ウィジェットではウォッチリストの先頭の最大6銘柄(iOS14以降)の直近の価格を表示できる
・株価だけでなく日経平均やS&P500などの株価指数や為替レートを参照できる
↑参考:iOS14/15時代の株価ウィジェット。最大6銘柄を表示。
現在では、日米の上場株式/ETFであれば、銘柄名、4桁の銘柄コード(日本株)、ティッカー(米国株)で検索すれば大抵のものは見つかる。
ただ、更新がリアルタイムではないものも多いので取引の参考には不向きである。
(ディレイの時間は日本株が20分、米国の先物が10分などまちまち。米国株がリアルタイムなのが結構すごいことだと思う。)
また、2022年9月リリースのiOS16から、株価アプリで複数のウォッチリストを作成できるようになった。
株価アプリの検索窓の真下の"銘柄コード∧∨"をタップするとウォッチリストの追加・編集・切替ができるようになる。iOS15で使っていたウォッチリストがこの「銘柄コード」という名前のウォッチリストとして保存されている。
株価指数、米10年債利回り、VIX
Appleの純正株価アプリでは、株式以外のデータは、伝統的にデータ提供元のYahooファイナンスのコードが使われている。
例えば、日経平均は^N225、S&P500指数は^GSPCである。
※^は「キャレット」や「ハット」と読む。Excelでべき乗に使う記号なので、私はずっと「べき」と読んでいました。
とはいえ、株式と同様に、現在では多くの株価指数等が名前から検索可能だ。
検索欄に「S&P」と入力すれば候補にS&P500指数、「NASDAQ」でNASDAQ総合指数(NASDAQ Composite)が見つかる。
株価指数以外でも「Treasury」で米国10年債利回り(^TNX)、「VIX」でVIX指数(^VIX)が検索できる。
「名前で検索して候補に表示されない場合は、米国YahooFinanceで使われているコードを特定して打ち込む」のがiOS株価アプリの伝統的な作法だったが、今ではこれが必要なシチュエーションは減っている。
参考までに、需要がありそうな株価指数(&VIX&米10年金利)のコードを以下に記載する。
ダウ平均 | ^DJI |
S&P500指数 | ^GSPC |
ナスダック総合指数 | ^IXIC |
ナスダック100指数 | ^NDX |
米国10年債利回り | ^TNX |
VIX指数 | ^VIX |
日経平均 | ^N225 |
上海総合指数(中国) | 000001.SS |
ハンセン指数(香港) | ^HSI |
SENSEX30指数(インド) | ^BSESEN |
DAX指数(ドイツ) | ^GDAXI |
FTSE100指数(イギリス) | ^FTSE |
為替
為替レートは、名前で検索するとやや難がある。
例えば、豪ドル/円の為替レートが目当てで"australian dollar"で検索すると、先頭に豪ドル/米ドルの為替レートが表示され、それ以外には豪ドルがらみの先物やETFが表示される。
為替レートは、ISOの3文字の通貨コードの組み合わせ(FX会社等でも使われる通貨ペア)に=Xをつけたものがアプリ内でコードとして使われているため、これを直接検索欄に入力する方が目的にたどり着きやすい(ドル円だけ少し特殊)。
日本の投資家の関心が高いものを以下に記載する。
ドル円 | JPY=X |
ユーロ円 | EURJPY=X |
ユーロドル | EURUSD=X |
ポンド円 | GBPJPY=X |
豪ドル円 | AUDJPY=X |
米国の金利
米国10年国債利回りは^TNXで表示できると書いたが、それ以外にも以下のような米国の金利指標を株価アプリで表示できる(YahooFinanceにもあった)。
13週 米国財務省短期証券(≒3ヶ月金利) | ^IRX |
米国5年債利回り | ^FVX |
米国10年債利回り(再掲) | ^TNX |
米国30年債利回り | ^TYX |
極めてざっくりとでよければ株価アプリだけでイールドカーブの形状がイメージできる。
米国の先物(コモディティと株価指数先物)
いつからかは分からないが、米国の先物のつなぎ足が株価アプリで参照できるようになっていた。ただ、リアルタイムではなく10分ディレイである。
以下に主要なものをまとめておく。
コモディティ(商品)
商品価格では、WTI原油や金の価格をウォッチしたい人が多いと思う。
現在は「CL=F」でWTI原油先物、「GC=F」で金先物価格が表示される。
この2つは、直近限月の先物の価格を限月交代のたびにつなぎ合わせた「つなぎ足」だ。Bloombergの「CLA」や普段ニュースで見ている先物価格も同様の調整がされている。
指標として価格動向を見る上ではつなぎ足のチャートはたいへん有用だが、現実の原油ETFのリターンはつなぎ足のチャートとは大きく異なるため、投資対象として見るのであれば原油ETFの価格も合わせてウォッチすべきだ。
また、以下のAppbankの記事にあるように株価アプリでも限月を指定して表示させることも可能である。
例えば、WTI原油先物の2019年2月限(ぎり)の場合は、CLG19.NYMというコードである。
Gが2月限という意味で、この部分が限月ごとに異なる(1月がF、2月がG、3月がH、・・・)。
株価指数先物(S&P500先物、NASDAQ100先物など)
CME等の米国の先物取引は日本時間も動いており、近年では米国株先物の値動きがアジア市場の現物株の値動きに影響を与えることが多くなった。
株価アプリでは以下の先物を参照できる。"dow futures"のように検索してもうまく出てこないものもあるのでコード(YM=F)で検索するほうが確実だと思う。
S&P500先物 (E-mini S&P500 Index) | ES=F |
ダウ平均先物 (E-mini DowJones Industrial Average Index) | YM=F |
NASDAQ100先物 ( E-mini Nasdaq 100 Index) | NQ=F |
Russell 2000先物(小型株指数) (E-mini Russell2000 Index) | RTY=F |
見られないものはETFで代替するか他のアプリ
2008年に第二世代iPod touchを買ってから10年間試行錯誤を重ねて来たが、以下の指数や指標は株価ウィジェットだと表示できなかった。
これらについては、流動性の高いETFで代替するか、別のアプリで見たほうが良いと思う。
MSCIの指数
MSCIが算出する株価指数、特にMSCI KOKUSAI、MSCI Emerging、MSCI ACWIは連動するインデックスファンドを保有している人が多く、株価アプリで見たい人も多いと思う。
私もそのクチなので2008年に第二世代iPod Touchを入手したときすぐに試した。だが、MSCIの指数は12年間どう頑張っても出てこなかった。
そもそもMSCIの指数はYahooFinanceに出てこないので、2社間に契約が無いのだと推測する。
そのため、MSCIの指数については、流動性の高いETFで代替するのが無難な解決方法だ。
私もMSCI Emergingの代替として、EEMをずっとウォッチリストに登録している。
MSCI KOKUSAIやMSCI Worldはあまり流動性の高いETFが無いため、割り切って日本・新興国含む全世界を見ても良い。なんなら、厳密にMSCIにこだわらず、FTSEの指数をベンチマークにしているVanguardのETFで代用しても、「全世界株」や「エマージング株」の市況をみるだけなら大差無い。
新興国株 | EEM(MSCI EM)、VWO(FTSE EM) |
全世界(新興国含む) | ACWI(MSCI ACWI)、VT(FTSE全世界) |
冒頭に記載のとおり、かつては米国上場銘柄を検索するために端末の言語設定を英語にする必要がある時期があった。現在は日米の株式とETFであれば、名前かティッカーで検索すれば基本的に見つかるようになっている。
TECL(テックレバ3倍ETF)やHYG(ハイイールド債ETF)のような尖った銘柄もティッカーから検索できる。
米国2年債や日本や欧州の金利
上で挙げた米国の3ヶ月、5年、10年、30年以外の金利はYahooFinanceでも見つけられなかったので、株価アプリでは見られないと思う。
そのため、米国の2年債の利回りや日本やイギリスやドイツの金利(国債利回り)を見たい時は、iOS純正株価アプリではなく他のサービスを使う方が良いだろう。
私は代替手段として、CNBCやTradingViewを参照している。どちらもそこそこ使いやすいiPhoneアプリがある。
かつてはBloombergの無料アプリを使っていたが、こちらは2018年くらいから債券利回りの情報がかなり削られてしまった。
TOPIXと東証REIT指数
TOPIXは、かつては998405.Tというコードで出て来たが、もう長いことデータが表示されない。いつから表示されなくなったか詳細はわからない。以前は確かに表示されていたと思うのだが。
そのため、TOPIXについては日経平均(^N225)か流動性の高いTOPIX連動ETF(1306等)で代替するほか無いと思う。
TOPIXだけでなく東証REIT指数も表示できないため、東証・JPXの意向なのかもしれない。
そうであれば、このようなせこい情報の出し惜しみは、投資対象としての日本株の魅力を低下させる愚行だと考える。
TOPIXという指数は、日本株市場全体のプロキシーであり、日本株への投資成果を測るベンチマークであり、それ自体「日本株全体」として投資対象となるアセットクラスでもある。指数算出者の著作権は適切に保護されるべきだが、出し惜しみすれば誰からも使われず支持されず価値を損なう。
※JPXの出し惜しみではなくAppleやヤフーファイナンスのせいだったらごめん
おわり
以上です。
iOSの純正株価アプリ(特にウィジェット)は無駄がないデザインで見やすいので、うまく活用したいと試行錯誤している人も少なくないと思います。本稿の内容が参考になれば嬉しく思います。