ETF

ビットコインETFの概要を届出書で確認(BITO, ProShares Bitcoin Strategy ETF)

2021/10/16

  2021年10月15日、米証券取引等監視委員会(SEC)によるProSharesのビットコインETF(ティッカー :BITO)承認が報じられました。 日本経済新聞  50 Tweets 2 Users 3 Pocketsビットコイン半年ぶり6万ドル超、先物ETF開始へ(写真=ロイター)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12E7X0S1A011C2000000/【ニューヨーク=大島有美子】暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が15日、約 ...

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株式投資

GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのはしょうがない(アセットオーナーとパッシブ運用)

2021/10/1

本稿では「指数に採用されている以上GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのは仕方がないこと」という観点から、巨大機関投資家が世界中に分散投資する際に不可欠な「パッシブ運用で面積を取る」という行動について解説します。 その後にGPIFがベンチマークにしている指数について本件と絡めて見ます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 中華デベロッパーの過剰債務が世界経済を揺るがす2 GPIFの潔い開示はメディアの飯のタネに3 公的年金の資産運用のプロセス :パッシブ運用で面積を取る3.1 政策アロケーション(配分 ...

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株式投資 取引・配当・コーポレートアクション

よく分かる公募増資(フロー、用語、株価への影響):JR西日本のケース

2021/9/4

本稿では、上場会社の公募増資を2021年のJR西日本の事例を題材に解説します。 日本経済新聞  1 Tweet 8 UsersJR西日本、公募増資など最大2786億円調達 グループ初https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF018150R00C21A9000000/JR西日本は1日、公募増資などで最大2786億円を調達すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い鉄道利用が落ち込み、2022年3月期は2期連続の連結最終赤字となる見通し。財務基盤の立て直しを急 ...

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株式投資

2021年7月中国株急落を2018年以降の米中対立の枠組みで整理する

2021/8/14

2021年7月、テクノロジー関連銘柄を中心に中国株が大きく下落しました。 本稿では、この2021年7月の下落に至るまでの経緯を2018年から続く米中対立の文脈で整理します。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 赤く燃える市場(2021年7月)1.1 2021年7月の出来事2 米中対立下の中国企業に対する米・中両国からのプレッシャー2.1 今に続く米中対立の発端は関税2.2 安全保障と中国企業2.3 中国企業への投資制限2.4 中国政府による中国IT企業への締付け3 おわり 赤く燃える市場(2021年7月 ...

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株価指数

日経平均の算出方法と問題点(+2021年の算出方法変更)の解説

2021/7/7

2021年10月から日経平均の算出方法が変わります。 本年5月に日本経済新聞社は変更点をまとめたドキュメントを公開しパブリックコメントを実施。 7月5日にパブリックコメントへの回答と変更後の算出要領を公開しました。 本稿では、現在の日経平均の算出方法・問題点を解説したうえで、算出要領の変更点について解説します。 現行の算出方法の解説と問題点にもかなり文字数を使っていますので、変更点のみに注目している方は↓の目次を活用してください。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 現行の算出方法と問題点1.1 202 ...

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株式投資

パナソニックのテスラ株売却がすぐに報じられなかった理由(IFRS包括利益の罠)

2021/6/26

2021年6月25日、パナソニックが同社が保有するテスラ株式を2021年3月末までに全売却していたと報じられました。 パナソニックは2010年にEV用電池事業に関する関係強化を目的としてテスラ株を取得しており、当初の取得金額24億円に対し、今回の売却額は4,000億円程度と報じられています。 テスラは昨年からのコロナ相場で話題の中心となった銘柄の1つであり、本件は大いに注目されました。また、25日のパナソニック株は前日比4.9%と大幅に上昇しました。 日本経済新聞  187 Tweets 140 ...

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株価指数 株式投資

日経平均先物と現物の日経平均の価格乖離(配当と金利と貸株)

2021/3/25

本稿では現物の日経平均株価と日経平均先物の価格乖離がなぜ起こるかについて解説します。 実際の数値例を出しますので、教科書的な知識と現実のブリッジとして読んでいただけると書いた甲斐があります。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 日経平均と日経平均先物の価格乖離1.1 配当と金利と貸株1.2 配当と短期金利でどの程度説明できるか2 おわり 日経平均と日経平均先物の価格乖離 現物株225銘柄から算出される日経平均株価(株価指数)と、日経平均株価を原資産とした先物である日経平均先物の価格は、通常は一致しません ...

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株式投資

金利上昇による株価下落でグロース株が特に不利な理由

2021/3/5

本稿では、金利上昇で株価が下落する理由を解説します。 3年前にも似たようなことを書いていますが、現在の局面にあてはめて書きます。 せっかく金利と株価の関係に注目が集まっているのに私の過去記事にはさして流入が無いので悲しいのです。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 金利上昇で株価が下がるメカニズム1.1 金利と株価の関係1.2 配当割引モデルで考える1.2.1 債券への資金流入⇛期待収益率(割引率)の上昇1.2.2 企業業績への影響⇛予想成長率の低下(業種によっては上昇)2 グロース株と金利上昇3 おわ ...

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株式投資

東証の流通株式時価総額の定義変更で何が変わるか

2021/2/18

2022年4月に東京証券取引所が市場区分の再編を行います。 現行の市場第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する計画です。 この中で、東証が上場審査と上場廃止基準で使用する「流通株式」の定義が見直されます。 これは、2019年に実施された金融庁の審議会でも言及されていましたが、2020年12月に東証から変更後の具体的な計算方法が公表されました。 本稿ではこの「流通株式」の定義の変更について、現在の基準との違い等の観点から解説します。 東証の資料 ...

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投資信託

アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスとは

2021/2/5

金融業界では「デューデリジェンス」という言葉が2つの意味で使われます。 もともとDue Dilligenceという言葉は「適切な注意義務を果たす」「適正な手続きを踏む」というニュアンスの言葉です。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 M&Aにおけるデューデリジェンスと資産運用におけるデューデリジェンス2 アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスの全体像2.1 資産運用のデューデリは誰がするか2.2 資産運用のデューデリのフロー2.3 資産運用のデューデリの評価項目2.3.1 定量評価2.3 ...

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株式投資

GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのはしょうがない(アセットオーナーとパッシブ運用)

本稿では「指数に採用されている以上GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのは仕方がないこと」という観点から、巨大機関投資家が世界中に分散投資する際に不可欠な「パッシブ運用で面積を取る」という行動について解説します。
その後にGPIFがベンチマークにしている指数について本件と絡めて見ます。

中華デベロッパーの過剰債務が世界経済を揺るがす

2021年9月、中国最大級の不動産デベロッパーの中国恒大集団(China Evergrande Group、以下「Evergrande」)の債務危機に世界の金融市場が揺れました。
中国当局は以前から同社の過剰債務を問題視しており、世界の投資家も注目していましたが、影響範囲の大きさから破綻時には救済されるという見方が強かったです。
9月の市場の動乱は「Evergrandeは救済されず、債務者や理財商品の投資家である中国人民に損害を与え、中国の不動産市場にも大きな混乱をもたらす」と考えられるようになったからでした。
(余談ですが「恒大集団」は日本語のIMEだとどうやっても変換できません。「つねだいしゅうだん」で何回か変換すれば覚えてくれるのですが、なんだかなぁという気分。
辞書登録するほど賞味期限が長い話題でもないと思うので本稿ではEvergrandeと書きます。)

GPIFの潔い開示はメディアの飯のタネに

こうした中で、日本の厚生年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、Evergrandeと同社のグループ会社の株や債券を保有していることが報じられました。

記事中では「21年3月末時点で恒大集団とグループ企業の株式を37億円、社債は59億円保有」とありますが、これはGPIFが開示している業務概況書の付属資料から拾っただけです。
GPIFは年度末ベースで保有する全銘柄の時価明細を開示しているため、誰でも容易に確認することができます。
(厳密にはオルタナティブ投資(PE、インフラ、不動産)については投資先のファンドまでの開示でファンドが投資する個別の案件までは出ていません。低流動性資産なのでこれは仕方がないと思います。)

 

ここからダウンロードしてフィルターするだけです。

 

出所:年金積立金管理運用独立行政法人 2020年度業務概況書付属資料

この同法人の潔い開示姿勢は評価されるべきだと考えます。
少なくとも、こうしてマスコミに面白おかしく飯のタネにされる覚悟があるということなのですから。
GPIFの国民向けの情報開示は5,6年前からかなり良くなりました。

さて、この時点のGPIFはの運用資産は186兆円なので株と債券合わせて96億円という保有額は誤差に過ぎません。
本件に関するSNS・ネット上の意見も多くは「中国最大級の不動産会社なのだから世界中の資産に分散投資するうえで一定程度保有するのは避けられない」ということを理解したものでしたが、年金関連のニュースは資産運用の知識が無い人も見るうえに公的年金を政権・行政批判のネタにしたい人々は多いので、批判的なものもそれなりにありました。

公的年金の資産運用のプロセス :パッシブ運用で面積を取る

このGPIFがEvergrandeに投資していても仕方がないということが腹に落ちるかどうかは、公的年金のような巨大な機関投資家はベンチマークに連動するパッシブ運用で面積を取るということを理解できるかにかかっています。

公的年金や基金のような機関投資家の長期の資産運用は多くの場合以下のプロセスで決定されます。

①内外株式債券といった主要資産に対する政策アロケーション(配分比率)の決定
②アロケーションに従って資産運用をするための運用戦略・運用機関の選定

政策アロケーション(配分比率)の決定

政策アロケーションというのは年金や基金が土台とする資産配分意比率です。GPIFでは「基本ポートフォリオ」と呼び、現状では以下の配分比率になっています。

基本的に各資産を代表するベンチマーク指数の収益率やボラティリティ等の特性をもとに、最適化ストレステストを行い決定します。

教科書的な最適化を具体的に解説した当サイトの記事はこちら。

Excelによるアセットアロケーションの最適化計算

本稿では、教科書的なアセットアロケーションの最適化計算をEXCELで行う際のアプローチについて解説します。 全世界株、米ドル建債券、ゴールド ...

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運用戦略・運用機関の選定

続いて、政策アロケーションに従って投資を実行するために、どの運用機関(運用会社)どの戦略どれくらい投資するかを判断します。
具体的にはアクティブとパッシブの比率採用する戦略の分散(バリュー/グロースいずれかに偏っていないか、中小型株の戦略をどれくらい採用するか等々)といったことを考慮します。
当サイトでも以前に取り上げた運用会社のデューデリジェンス(評価)はここに関係します。

アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスとは

金融業界では「デューデリジェンス」という言葉が2つの意味で使われます。 もともとDue Dilligenceという言葉は「適切な注意義務を果 ...

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今回のトピックで特に重要なのが、この中のアクティブ/パッシブ比率です。
年金や基金の規模が大きくなればなるほど、アロケーション(資産配分)のベースはパッシブ運用で残高を確保し、アロケーションの一部を超過収益(アルファ)が期待できるアクティブ戦略・アクティブマネージャー(運用会社)に委託し収益の上積みを図るという方針になりがちです。
例えば、GPIFの主要資産のアクティブパッシブ比率の推移は以下のようになっています。

GPIFのアクティブ/パッシブ比率の推移

出所:年金積立金管理運用独立行政法人 2020年度業務概況書

債券が株よりもアクティブ多めなのは理にかなっていると思うのですが、株もあと5%くらいはアクティブを増やしてもいいのではないかと思います。

ここで誤解を恐れずに言えば、このような機関投資家(アセットオーナー)の資産運用では、投資対象は個々の株式や債券ではありません
市場(資産)全体を代替する指数の特性をもとに配分比率を決定し、残高の過半を指数に連動するパッシブ運用で積み上げているのです。
そこではJTの普通株式、英国の5年債といった個々の銘柄の属性は捨象され、TOPIXやWGBI(FTSE世界国債インデックス)の構成要素として存在することになります。

※アセットオーナーというのは「機関投資家」を他人の資産を運用する運用会社と公的年金のように自己資産を運用する主体に分ける時に使われる言葉です。年金、大学基金、保険会社などがアセットオーナーです。

Evergrandeの株式もMSCI China Index(MSCI ACWIの一部)の構成要素としてアロケーションに含まれて当然なのです。

今回のようなことがあると「指数に含まれていても明らかにヤバい銘柄は除外できないのか」という人がいますが、そうすると「明らかにやばい銘柄」の定義・判断やモニタリングのコストがかかるため、何のためのパッシブ運用か分からなくなります。
また、状況が変わりEvergrandeが救済され株や債券の価格が急回復した場合はその分の収益は取り逃すことになります。
この議論は市井の人々の素朴な感覚から出てくるだけではありません。金融法人の資産運用でも、運用実務に疎い偉い人がたまに言います。金融危機の前後に特にありました

GPIFのベンチマークと恒大集団

ここからは、GPIFがベンチマークにしている指数にEvergrandeが含まれているか簡単に見ていきます。

株:MSCI CHINA採用(ACWIとEMにも含まれる)

GPIFが外国株式のベンチマークに採用しているのは以下の指数です。

一部のESG指数を除いて、MSCIの指数が使われています。
もともとGPIFは外国株式のベンチマークにMSCI KOKUSAIを使っていましたが現在ではMSCI ACWIがベースです。
Evergrandeの株式はMSCI CHINAに採用されています(MSCI CHINA連動ETFのMCHIの保有銘柄開示等で確認できます)。
MSCIの指数の体系では、MSCI CHINA採用銘柄はMSCI ACWI(全先進国+全新興国)MSCI EMERGING(全新興国)に含まれるため、完全再現法のパッシブファンドであれば必ず保有することになります。

MSCIの指数の体系についてはこちらの解説もどうぞ。

MSCIの株価指数の特徴(モルスタとの関係、ACWI、IMI、正しく言える?)

公募投信や確定拠出年金(401k)で外国株ファンドを見るようになり、初めてMSCIという会社を知った方は結構多いと思います。グローバルな指数 ...

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債券:ちょっとよく分からなかったです(敗北)

GPIFが外国債券のベンチマークに採用しているのは以下の指数です。

債券の種別ごとに代表的な指数を採用しています。株の指数と比べると個人投資家には馴染みがないものもあるので以下で簡単に整理します。

国債の指数→FTSE世界国債インデックス
(もともとCitiが算出していた指数を指数算出会社のFTSEが取得しました)
社債の指数→Bloomberg Barclays総合指数
(これももともとBarclaysが算出していたものをBloombergが取得しました。つい最近Barclaysの名前が完全に消えました。)
エマージング債券の指数→JPMorgan EMBI

この中でGPIFの開示にある米ドル建てのEvergrande社債が含まれていそうなのは米国ハイイールド社債 2%発行体キャップ指数(USHY2%)ですが、これのキャップなし指数に連動するETFのJNKの開示を見てもEvergrande債は確認できませんでした
同じBloomberg Barclaysのグローバル総合(G-AGG-EXC)や米国総合(USAGG)はIG(投資適格)社債の指数なので含まれているとは考えられず、エマージング債券の指数であるEMBIGDとGBI-EMGD-EXCは新興国の国債の指数なのでこちらも違います。

一応、JPMorgan EMBIの社債指数に連動するETFのCEMBには9月20日時点でEvergrandeの債券が含まれていることを確認したのですが、これはGPIFのベンチマークにはない指数です。

現在公開情報から確認できる範囲ではこの辺りが限界でした。

おわり:GPIFという機関について

以上です。
最後に、GPIFについて思うところを少し書きます。

本稿はGPIFを擁護するようなトーンですが、自分は正直GPIFという機関にあまり良い印象はありません(具体的には書くことは避けます)。
ただ、基本的に何をやっても褒められずに文句を言われる機関であるにも関わらず、ディスクロージャーや情報発信を近年強化したことは英断だと思います。

そのそも、日本の公的年金におけるGPIFの役割は過大に見られがちです。
GPIFが運用している年金積立金は、日本の年金制度がまだ若かった頃に給付に充てずに取っておいたものであって、年金財政全体のごくごく一部に過ぎません。
現在の現役世代の保険料は全て現在の受給者への給付に回っていて、積立金に回る余裕はないのです。
それにも関わらず「我々が毎月源泉徴収されている厚生年金保険料我々が将来受け取る年金のために運用している機関」だと勘違いしている人は多いです。
GPIFの運用結果が保険料や将来受け取る年金に与える影響は極めて限定的です。
GPIFのやっていることを誤解し過剰に期待すると、我が国の年金制度の他の問題をうやむやにしてしまうのではないかと懸念しています。

  • この記事を書いた人

ton

2007年から運用会社や金融機関の運用部門で株を中心に見てきました。 現在は運用業務からは離れていて運用は自己資金のみ。 投信の請求目論見書や指数の算出要領からプロダクトの中身に迫るのが好き。

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