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ビットコインETFの概要を届出書で確認(BITO, ProShares Bitcoin Strategy ETF)

 

2021年10月15日、米証券取引等監視委員会(SEC)によるProSharesのビットコインETF(ティッカー :BITO)承認が報じられました。

これを受けて、堅調に推移していたビットコイン価格は一段と騰勢を強め米ドル建てで62,000ドル付近まで急進。円建では本年4月ぶりに7,000,000円を越えました。

本稿では、このProShares ETFのSEC登録届出書(Form N-1A)をもとに、ビットコインETFの概要を確認します。

前段 : ProSharesという会社と登録申請書の位置づけ

はじめに、運用会社のProSharesの概要と、承認された届出の位置づけについて述べます。

ProShares ETFについて

ProSharesはレバレッジ・インバース型やテーマ型など、非伝統的な戦略のETFに特化した運用会社です。
ホームページには運用会社の情報が少ないですが、1997年創業のProFunds Groupという運用会社のETF部門にあたります。

運用資産額は600億ドルを越え、本稿執筆時点でのETF Databaseの集計では運用資産額(AUM)では全ETF運用会社中8位予想収入では6位に位置します。
(イロモノほど収益性が高いのが資産運用ビジネスなのです。)

日本の投資家にもNASDAQ100のレバレッジ3倍ETFであるTQQQの運用会社として有名だと思います。
実際にProShares ETFではTQQQが運用残高150億ドルで最も大きく、AUM全体の4分の1を占めます。

本稿で確認する書面(SEC登録届出書(FORM N-1A))

今回の報道の元になっているのはProSharesがSECに提出したFORM N-1Aという書類です。

これは、米国で1940年投資会社法に基づくオープンエンドファンドを組成するときにSECに提出する書類です。
内容は、投資家向けの目論見書(Prospectus)と似ており、最終的にSECに認可されたFORM N-1Aの内容を元に目論見書が作成されるのだと思います。
この辺りは日本の金商法における有価証券届出書目論見書の関係と同様だと推測します。

この書類はSECのEDGAR(米国のEDINET)から誰でも確認できます。
EDGARの会社検索で"proshares"と入れると本件の発行体に相当する"PROSHARES TRUST"がヒットし、同社の10月15日付けの提出書類として上のリンクの書類が見つかります。

ProShares Bitcoin Strategy ETFの概要

以下で、FORM N-1Aから読み取れたBITOの概要を記載します。
気になった項目については適宜コメントします。

・ファンド名:ProShares Bitcoin Strategy ETF

・ティッカー:BITO

・上場取引所:NYSE Arca
⇛旧Archipelago→旧Arca→NYSE Arca。歴史的にETF上場が盛んな市場です。

・上場予定日:2021年10月18日
⇛18日から取引開始かは未確定で、週後半からになる可能性に複数メディアが言及しています。

・Management Fee(運用管理手数料):年間0.95%
⇛TQQQ等の同社の先物を使ったファンドと同じ水準です。

・投資対象:CME上場のビットコイン先物、短期債(財務省短期証券、レポ、リバースレポ)
⇛BITOの投資対象は米商品先物投資委員会(CFTC)に登録された商品取引所で取引されるビットコイン先物です。
現状CFTC登録の取引所でビットコイン先物が上場しているのはシカゴマーカンタイル取引所(CME)のみなので、必然的にこれが対象になります。
多くの先物を使うパッシブファンド・ETFと同様に、BITOも連動対象(ビットコイン)のエクスポージャーは先物で取り、先物証拠金以外の資金は短期債で運用する設計です。

・投資方針(限月、ロールオーバー、スキーム)
⇛BITOでは原則として直近限月(front-month)のビットコイン先物を保有すると記載されていますが、ロールオーバーのスケジュールには言及がありません。
野村原油やWT天然ガスETFの記事でも書きましたが、先物を使うファンドだと、先物のつなぎ足とファンドの基準価額が大きく乖離することが珍しくありません
ただ、本稿執筆時点のビットコイン先物の10月限(期近)と11月限(期先)のスプレッドは0.5%程度なので、運搬・保管コストがかかる原油先物と比べるとロールオーバーの影響は少なそうです(ちなみにCMEのビットコイン先物は差金決済です)。
また、BITOのビットコイン先物への投資は上限25%の範囲内でケイマン籍の子会社を介して行うと記載されています。ProSharesの他のコモディティETFでも採用しているスキームのようですが、あまり見ない形態です。
一方、TQQQの目論見書にはスワップを使うと記載されていますが、当ファンドには同様の記載はありません。

投資の一部がケイマンの子会社を経由することが特殊な以外は、シンプルに直近限月のBTC先物をロールオーバーしていく設計のように見受けられます。

その他

ファンドの発行体になるProShares Trustはデラウェア州法定トラスト(Delaware Statutory Trust)として設立されています。米国のミューチュアルファンド、ETFの組成形態としてはメジャーです。

設定解約(Creation/Redemption)は現金のみです。BTC現物で設定解約できればロマンがあるのですが。

おわり

以上です。最後に2点ほど考察を書いて締めたいと思います。

機関投資家のアクセスとETF

ETF上場のビットコイン価格への影響としてよく言われるのが、機関投資家からの資金流入です。
自分はこれは確かにあるだろうと見てます。
年金や保険会社のようなアセットオーナー・他人の資産を運用する運用会社、いずれの立場でも現状では仮想通貨を運用対象に含めるにはカストディアン(保管銀行)等と協議して特別に口座のアレンジをしなければいけないはずです。
BITOは他の米国上場のETFと同様、DTC(米国の保振機構)決済の証券なので、証券運用をするファンド等の口座であれば問題なく売買できるはずです。

ただ、上場からすぐに大規模な資金流入があるかというと懐疑的です。
現状でもCMEビットコイン先物や現物の仮想通貨取引所があるため、積極的な機関投資家は先物や特殊な口座のアレンジを通してすでにビットコインにアクセスしているはずです。
自分は裾野が広がるための1ステップに過ぎないのではないかと見ています。

日本の投資家は買えるだろうか

現状、外国上場のETFを日本の証券会社が取り扱う(≒個人投資家がアクセスできるようになる)ためには、運用会社が金融庁に「外国投資信託に関する届出書」を提出する必要があります。
(この手続は、投信法と施行令を読む限りでは取引所取引のみであれば不要に見えるのですがここでは深入りしません)
ProSharesからの届出があれば取り扱う日本の証券会社は多いと思いますが、個人的にはあまり期待できない印象です(TQQQもサクソバンクの一般口座でしか取扱がありません。)。
もし取り扱われれば証券税制の20%分離課税が適用されるので、現物よりも税率が有利になる投資家は相応にいるでしょう。
(岸田総理が増税するかもしれないが)

 

 

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