株価指数

時価総額世界1位のサウジアラムコは指数にどれくらい入っているか(エマージング)

2020年12月7日

ちょうど1年前に、サウジアラビアの国営石油会社のサウジアラムコの上場がニュースになっていました。

この時は「時価総額世界最大!アップルやマイクロソフトを上回る!」という報道が多かったので「発行済株式の1.5%しか売り出さない銘柄を全株数ベースの時価総額で騒ぐのはおかしいでしょ」という記事を書きました。

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今回はフォローアップとして、アラムコの株数が代表的な株価指数の算出でどう扱われているかをまとめます。

アラムコのMSCIの浮動株比率は1%強

最初にMSCIサウジアラビア指数を見ます。
2020年11月末ベースのMSCIサウジアラビアのファクトシートによると、アラムコの指数算出用時価総額は211億米ドルとして扱われています。
浮動株調整ベースではサウジアラビア銘柄の中でも3位なのです。
※浮動株調整時価総額・・・市場で取引される可能性が低い株数を除いて計算した時価総額(大株主の保有分や、金融機関の政策保有を除外する)。MSCI,S&P500,TOPIXなど主要な時価総額加重平均株価指数は全て浮動株調整を行っている。

続いて、全株数ベースの時価総額との比をとって、MSCIが採用しているアラムコの浮動株比率を推定します。
少し時点がずれますが、BloombergのWebで見ると、12月3日時点のサウジアラムコの時価総額は7.17兆サウジアラビア・リヤル(SAR)でした。
為替レートを1USD=3.75SARで換算すると、サウジアラムコの時価総額は1.91兆米ドル程度になります。
したがって、MSCIが指数の計算で使っている浮動株比率は211億米ドル/1.91兆米ドル=1.1%程度と推定できます。

2019年に売り出されたのが発行済株式の1.5%だったので、そのうち金融機関や会社関係者と見られる保有分を除くとすると1.1%は違和感が無い数字です。

すなわち、発行済株数の1.1%で計算した時価総額で指数に組み入れられているということです。
アラムコを「時価総額世界最大!」とやたら言いたがる報道機関(マスコミ)と比べて、指数算出会社はとても冷静で現実的だということがわかるでしょう。

最後に、MSCIエマージング・マーケット指数におけるウェイトを推定します。
2020年11月末時点のMSCIエマージングのファクトシートによると、上位銘柄は以下のとおりです。

10位の中国平安保険(Ping an Insurance)が指数算出用時価総額699億米ドルで構成比0.98%なので、比を取ると指数算出用時価総額211億米ドルのアラムコはMSCIエマージングでは0.29%程度の構成比率になると推計できます。
数字にすると大したことなく見えますが、これはブラデスコ銀行と同じくらいでポスコよりも大きいので、新興国指数の中では相応の存在感がある水準です。

以上です。

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