株式投資

金利上昇による株価下落でグロース株が特に不利な理由

2021/3/5

本稿では、金利上昇で株価が下落する理由を解説します。 3年前にも似たようなことを書いていますが、現在の局面にあてはめて書きます。 せっかく金利と株価の関係に注目が集まっているのに私の過去記事にはさして流入が無いので悲しいのです。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 金利上昇で株価が下がるメカニズム1.1 金利と株価の関係1.2 配当割引モデルで考える1.2.1 債券への資金流入⇛期待収益率(割引率)の上昇1.2.2 企業業績への影響⇛予想成長率の低下(業種によっては上昇)2 グロース株と金利上昇3 おわ ...

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株式投資

東証の流通株式時価総額の定義変更で何が変わるか

2021/2/18

2022年4月に東京証券取引所が市場区分の再編を行います。 現行の市場第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する計画です。 この中で、東証が上場審査と上場廃止基準で使用する「流通株式」の定義が見直されます。 これは、2019年に実施された金融庁の審議会でも言及されていましたが、2020年12月に東証から変更後の具体的な計算方法が公表されました。 本稿ではこの「流通株式」の定義の変更について、現在の基準との違い等の観点から解説します。 東証の資料 ...

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投資信託

アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスとは

2021/2/5

金融業界では「デューデリジェンス」という言葉が2つの意味で使われます。 もともとDue Dilligenceという言葉は「適切な注意義務を果たす」「適正な手続きを踏む」というニュアンスの言葉です。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 M&Aにおけるデューデリジェンスと資産運用におけるデューデリジェンス2 アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスの全体像2.1 資産運用のデューデリは誰がするか2.2 資産運用のデューデリのフロー2.3 資産運用のデューデリの評価項目2.3.1 定量評価2.3 ...

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株価指数

全世界株指数にはREITが含まれているがTOPIXにはJ-REITが含まれない

2021/1/28

本稿では、世界のメジャーな株価指数はREITを含むが、日本で算出されている日経平均やTOPIXにはなぜかJ-REITが含まれていないという問題を掘り下げます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 S&P500もMSCI ACWIもREITを含む2 TOPIXや日経平均はなぜかREITを含まない2.1 J-REITは名実ともに投資法人(ファンド)なのだ2.2 US-REITはファンドっぽくない3 おわり 青(J-REIT)は藍(US-REIT)よりも青し(Investment Trust)? S& ...

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株価指数

バリュー株指数とグロース株指数の計算方法(PBR等で分類)

2021/1/27

本稿では、バリュー株指数やグロース株指数の算出方法を解説します。 日本の投資家が指標として見ることが多い、TOPIX(東証)、ラッセル、MSCIの指数については具体的な算出方法にも触れます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 バリュー株とグロース株2 「バリュー株指数」と「グロース株指数」2.1 バリュー銘柄、グロース銘柄、そして中間の銘柄2.2 TOPIXのバリューインデックスとグロースインデックス2.3 ラッセルのValue指数とGrowth指数2.4 MSCIのValue IndexとGrowt ...

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株価指数

時価総額世界1位のサウジアラムコは指数にどれくらい入っているか(エマージング)

2020/12/7

ちょうど1年前に、サウジアラビアの国営石油会社のサウジアラムコの上場がニュースになっていました。 この時は「時価総額世界最大!アップルやマイクロソフトを上回る!」という報道が多かったので「発行済株式の1.5%しか売り出さない銘柄を全株数ベースの時価総額で騒ぐのはおかしいでしょ」という記事を書きました。 今回はフォローアップとして、アラムコの株数が代表的な株価指数の算出でどう扱われているかをまとめます。 アラムコのMSCIの浮動株比率は1%強 最初にMSCIサウジアラビア指数を見ます。 2020年11月末ベ ...

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ファイナンス理論

ビットコインと伝統資産の相関関係(株式、債券、ゴールド、ドル)

2020/12/6

2020年11月末、米ドル建てのビットコイン価格は19,000ドルを超え、2017年末以来の最高値を更新しました。 円建てでも現在200万円近辺で推移しています。 ビットコインに限れば、2017年末から2018年初にかけて参入した出川組のほとんどを救う水準まで回復したことになります。 ※出川組⇛出川哲朗が出演するコインチェックのテレビCMが放映されていたのが、ちょうどビットコインが前回高値をつけた2017年12月頃でした。「兄さんが知らないはずないだろう!」ってやつ。 良い機会なので、ビットコインと伝統資 ...

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ETF

全然話題になってない三菱UFJFGのESG/ETNの解説(2070,2071,2072)

2020/11/24

2020年11月26日に、三菱UFJフィナンシャルグループが運用管理するESG関連等の3つのETNが東証に新規上場します。 現在の東証ETNは野村ホールディングスの1社供給なので新規管理会社の参入ですが、これが悲しいほどに話題になっていません。 興味がある人のために、自分がETNの有価証券届出書と指数のメソドロジーを確認して気づいた事項をまとめます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 ETNの銘柄概要2 ETN-JDRの上場形態(ストラクチャー)3 指数の詳細3.1 (前提1)STOXX JAPAN ...

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ETF

時価52兆円の東証ETF市場の見取り図(ETF/ETN組成形態別の銘柄数と時価総額)

2020/11/17

東証のETF・ETN市場の2020年11月時点の時価総額はおおむね52兆円です。 興味があって組成形態(上場形態)別の銘柄数と時価残高をまとめたので本稿で解説します。 特に海外との重複上場の形態について、JDR形態のもの(UBSの欧米株関連ファンド)と非JDR形態のもの(SPY=1557やGLD=1326)に分けてまとめたものはあまり見ないので、興味がある方は参考にしてください。 東証ETF・ETNの商品形態別銘柄数および時価残高 東証上場ETFの銘柄数および時価総額別の内訳は以下の通り。 時価は複数日に ...

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ETF

東証ETF解説:1570NF日経平均レバレッジETF

2020/10/26

ネタに困ったので、東証上場ETFを順番に解説する企画を始めます。 楽天証券の買付代金ランキング・保有残高ランキングを参考に注目度が高い50銘柄を取り上げたいと考えてます。 似たようなことやってる人は多いと思いますが、仕事でファンドや運用会社のデューデリジェンス(調査)をしていた人間が書くものはあんまりないと思うので参考にしてネ。 一発目は1570日経平均レバレッジETFです。 良くも悪くも現在の日本のETF市場はこれ抜きには語れません。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 ファンド基本データ2 パフォー ...

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株式投資

東証の流通株式時価総額の定義変更で何が変わるか

2022年4月に東京証券取引所が市場区分の再編を行います。
現行の市場第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する計画です。

この中で、東証が上場審査と上場廃止基準で使用する「流通株式」の定義が見直されます。
これは、2019年に実施された金融庁の審議会でも言及されていましたが、2020年12月に東証から変更後の具体的な計算方法が公表されました。
本稿ではこの「流通株式」の定義の変更について、現在の基準との違い等の観点から解説します。

東証の資料

2020年12月公表「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)
2021年2月公表「第二次制度改正事項に関するご説明資料」

https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/market-structure/index.html

当サイトの過去の解説記事

「流通時価総額」「流通株式時価総額」「浮動株」の違い

25日の日経新聞朝刊の東証の市場改革に関する報道の中に、違和感を覚える言葉がありました。 「流通時価総額」です。 記事そのものは、新設される ...

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流通株式とは

流通株式とは、東証が新規上場や上場廃止基準の審査で使用している考え方で、
「上場会社の発行済株式のうち市場での取引が見込まれるもの」です。

一般的に「時価総額」は株式の時価に全発行済株式数を乗じて計算します。
ただ、親子上場における親会社や創業者兼現経営者のような大株主が保有する株式は、通常は市場では売買されません
例えば、サウジアラビアの国営石油会社のサウジアラムコは単純な時価総額ではAppleやマイクロソフトに並ぶと報じられることが多いですが、同社が2019年のIPOで売り出した株式は全体の1.5%に過ぎないため、株式市場におけるプレゼンスは米国の巨大IT企業と比べるとはるかに小さいです。
(MSCIエマージング指数の0.3%程度のウェイト)

それゆえ、市場における上場会社の存在感をより正確に判定するために、市場での売買(流通)が見込まれる株式(流通株式)の基準を定め、それに基づく時価総額(流通株式時価総額)を上場廃止基準等の審査に使うのです。

流通株式は東証が上場制度の中で使用している考え方ですが、指数算出会社が時価総額加重平均指数の算出で使う「浮動株調整時価総額」も同じ目的であり計算方法もよく似ています。

現行の流通株式の定義

現在の東証の流通株式の定義は以下のものです。

流通株式=全上場株式ー(10%以上の大株主の持ち分+役員所有株式+自己株式)

有価証券上場規程と同施行規則では、投信や信託ファンドの持ち分は流通株式に含めると規定しているため、10%以上の大株主として日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ信託銀行(旧JTSBとTCSB)名義のものがあっても、それは流通株式として扱われます。
これに基準時点の株価を乗じて流通株式時価総額を計算します。

新制度における流通株式

一方、東証が2020年12月・2021年2月に公表した新制度のもとでは、流通株式は以下のように計算されます。

流通株式=全上場株式ー(10%以上の大株主の持ち分+役員所有株式+自己株式+国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式+その他取引所が固定的と認める株式)

青字部分は現行と同じで、赤字が新設される部分です。

国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式

新制度では「国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式」は流通株式に含めません。
これは、企業間の持ち合い株式(政策保有株式)の除外を念頭に置いた規定です。
MSCIのようなグローバルな指数算出会社が浮動株比率の算定にこれと似た基準を設けているので、新制度でも考慮したのではないかと推測します。
これには、直近の大量保有報告書等で保有目的が「純投資」となっている株数については流通株式に含めるという例外が設けられています。

新基準では、「事業法人等」を全て除外するため、提携等による持ち合いに限らず法人投資家が保有する株式は広く流通株式から除外されます。
これは、算出の利便性を考慮した制度設計だと推測します。
法人名義の株主について、持ち合いか純投資かを個別に判定するのは非常に手間がかかるので、株主の属性で一括で除外し、影響が大きいものについてのみ大量保有報告書の例外規定で拾うことを想定しているのだと思います。

その他取引所が固定的と認める株式

2021年2月の東証の資料によると、これは「10%以上の大株主の持ち分」としてカウントされないようにするために意図的に名義を分散させた場合のような有価証券上場規程の潜脱に対処するための規定のようです。

2000年代から日本株を見ている人は覚えていると思いますが、かつて西武鉄道が上場廃止になったのは、複雑な名義貸しにより株主名簿を偽っていたことが理由です。
取引所としては西武鉄道が前例としてあるため、流通株式数の上場廃止基準を回避するための株主名簿の操作への対処として明示したのだと考えられます。

新旧の流通株式時価総額の基準

新旧の流通株式時価総額による上場廃止基準は以下のとおりです。
これ以外にも流通株式数そのものの上場廃止基準があるほか、新規上場の審査や市場一部への指定の審査ではこれよりも厳しい基準が使われます。

現行
流通株式時価総額

10億円未満 市場一部から市場二部へ指定替え(降格)
5億円未満   市場二部とマザーズの上場廃止基準
2.5億円未満 ジャスダックの上場廃止基準

新制度
流通株式時価総額
100億円未満 プライム市場の上場維持(廃止)基準
10億円未満   スタンダード市場の上場維持(廃止)基準
5億円未満    グロース市場の上場維持(廃止)基準

流通株式時価総額に限りませんが、新制度では、プライムには現行の一部よりも厳しい基準、スタンダードは現行一部と同じ基準、グロースは現行マザーズと同じ基準を採用したようです。
また、新制度では、現在の市場一部から二部への指定替え(降格)のような仕組みはなく、上場維持(廃止)基準を満たせなくなった場合は、会社から市場変更の申し出が無い限りそのまま上場廃止になるようです。

おわり 日銀は新旧いずれも流通株式

以上です。

今回の流通株式の見直しでは、持ち合い株式の流通株式からの除外が追加され、MSCI等の指数算出会社の浮動株比率に近くなりました
一方で、指数算出会社は政府保有株式や外国人保有制限を浮動株から控除するため、引き続き差異もあります。

なお、現在の日本株の価格形成に大きな影響を与えている株主はETFを介して保有している日銀ですが、これは新旧どちらの基準でも投資信託による持ち分として流通株式とカウントされることになります。

  • この記事を書いた人

ton

2007年から運用会社や金融機関の運用部門で株を中心に見てきました。 現在は運用業務からは離れていて運用は自己資金のみ。 投信の請求目論見書や指数の算出要領からプロダクトの中身に迫るのが好き。

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