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日経平均先物と現物の日経平均の価格乖離(配当と金利と貸株)

本稿では現物の日経平均株価と日経平均先物の価格乖離がなぜ起こるかについて解説します。
実際の数値例を出しますので、教科書的な知識と現実のブリッジとして読んでいただけると書いた甲斐があります。

日経平均と日経平均先物の価格乖離

現物株225銘柄から算出される日経平均株価(株価指数)と、日経平均株価を原資産とした先物である日経平均先物の価格は、通常は一致しません。
以下は2021年3月24日14時過ぎのスナップショットです。

現物(28,469円)が先物(28,290円)より180円ほど高くなっています

配当と金利と貸株

両者の価格差について、証券外務員必携(外務員試験のテキスト)や証券アナリスト試験に出てくる説明は以下のとおりです。

先物の理論価格=現物価格
        ー先物の期日までに現物が受け取れる(配当基準日を経過する)配当金
        +先物の期日までに現物相当額を短期金融市場で運用した場合の金利収入

先物だと配当金が受け取れないのでその分が現物より安くなります。一方、証拠金取引で資金が拘束されない先物はその分を短期金融市場で運用し金利収入を得られるため金利収入相当額が高くなります。

また、裁定取引やマーケットメイクを行う証券会社のトレーダーの目線では、これに加えて貸株を考慮するという説明も見たことがあります。
すなわち、現物の日経平均は、現物購入した構成銘柄を貸株に出せば貸株収入を得られるので、その分だけ先物価格は現物価格より安くなります。証拠金取引の先物は資金拘束されないため金利収入を得られますが、現物株は貸株収入を得られるということですね。
(この説明は、藤沢数希さんがまだこういう話題も書いていた頃の金融日記で読んだと記憶しています。)

配当と短期金利でどの程度説明できるか

配当金

2021年3月24日時点で取引ボリュームが大きい期近の日経平均先物は2021年6月限です。
そのため、先物の期日までに配当落ちを迎えるのは、3月末、4月末、5月末が基準日の配当金です。
具体的には、先物の期日までに配当基準日が到来する各銘柄の予想配当金を[50/みなし額面]で加重して合算し、日経平均の現在の除数である27.769で割ることで、日経平均ベースの配当落ち金額を求めることができます。
計算方法はシンプルですが、個人投資家の環境で予想配当金のデータを200銘柄分集めるのは骨が折れます。その場合は、報道ベースの3月の配当落ち額をが参考になります。精緻にアービトラージする場合でもなければこれで十分です。
例えば、以下のQuickの報道にある大和証券の試算では、3月の日経平均の配当落ち額は179円とあります。
これだけで足元の日経平均と日経平均先物の価格乖離はほぼ説明できます。

 

金利

ここでは短期金利の指標として、全銀協の3ヶ月TIBORを使います。2021年3月24日時点の値は0.079%です。日経平均先物6月限の期日は2021年6月11日(金)なので、今から79日後であるため、

日経平均28,500円×0.079%×(79日/365日)=4.9円

となります。

 

すなわち、3月24日時点では、日経平均先物の理論価格は日経平均より174円安くなります(先物=現物-179+4.9)。

また、参考までに、ざっくりした前提で貸株も考慮してみます。
日経平均全銘柄を貸株する時の市場参加者の平均的な利率を観測することは困難なので、ざっくり1.5%とすると

28,500×1.5%×(79日/365日)=92円

これを含めると日経平均先物の理論価格は日経平均より266円安となります。冒頭で述べたように足元の価格差は180円前後なのでこれよりタイトです。

おわり

以上です。

素朴な疑問の答えになれば嬉しく思います。

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