株式投資

コロナショックでPBR1倍は下値サポートになるか(ROEとPERとの関係)

ここでは「PBR(株価純資産倍率)1倍割れの水準を下値の目処として見ることは適切か?」について解説します。
結論は、
「PBR1倍は、分散された株価指数の下値の目処として適切だが、ROE(収益率)やPER(期待)が低迷する局面ではPBR1倍割れも許容される」
です。

新型コロナウイルスに関連する市場の暴落では、日経平均20,000円代前半がPBR1倍水準に当たるため、下値メドとして意識されています(後記:意識されていました(過去形))。ぜひ参考にしてください。

PBRの定義と下値メドとすることの妥当性

PBRの基本

PBRは株価を1株あたり純資産(BPS)で割ったものです。

$$PBR=\frac{株価}{一株あたり純資産(BPS)}$$

これが1倍を割ると、株価が、帳簿価格で見た解散価値、つまり会社を現時点で清算した時に株主に戻ってくるお金を下回ることになるため、割安な水準であると見られます。
PBRは、1株あたり純利益(EPS)に基づいて算出するPER(株価収益率)と比較して振れにくい指標です。純資産(BPS)は、会社が株で調達した資金と過去の内部留保がベースになっているため、単年度の収益よりも安定しています。
以下の記事で詳しく解説しています。

PBR(株価純資産倍率)入門 赤字でも算出できるのが最大の利点

本稿ではPBR(株価純資産倍率)のポイントについて解説します。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 PBRの定義2 PBRの意味:1倍割れ ...

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日経平均等の指数のPBR(指数のPBR)

多くの指数算出会社が、株価指数ベースのPBRを計算しています。
指数の構成銘柄の実績BPS(直近で終わった年度のBPS)を、指数の構成ウェイトで加重平均して算出します。

日本株の指数であれば、日経平均と東証一部全体(≒TOPIX)のPBRを日経新聞の紙面やWebサイトで確認できます。外国株の指数では、指数算出会社の定期公開情報やBloombergのWebサイト等で確認できます。

参考までに、2020年3月6日時点の主要株価指数のPBRを挙げます。

 PBR
日経平均0.99
TOPIX1.06
S&P5003.27
DAX1.41
FTSE1001.58

PBRの算出の基礎になっているBPSは赤字になると減少します。
個別企業であれば、特に景気敏感な業種は景気悪化に伴い赤字になることが避けられません。ただ、業種分散された株価指数であれば、指数全体ベースで赤字になり、BPSが減少することは考えにくいです。2008年と2009年も指数ベースでは赤字になりませんでした。

 

PBR1倍割れの意味

以上のように、PBR1倍は理論的にも心理的にも意味がある数字です。
ただ、日経平均のPBRは3月6日時点でPBR0.99倍とちょうど1倍水準でしたが、9日のザラ場ではさらに6%下げています。少なくとも今回の下落時の最安値のメドとしては機能しませんでした。
以下では、PBR1倍割れが許容される状態について述べます。

リスクオフと悪環境期

今回も該当すると思いますが、先行きの不透明感からリスク資産を減らす動きが強い局面と、その後の相場低迷時は、PBR1倍も下値のサポートにはなりません。

例えば、リーマンショックを含む2008年の金融危機以降は、2011年の東日本大震災を経て2013年の株価上昇が始まる局面まで、東証一部全体ベースのPBRは0.7倍から1倍までのレンジで推移しています。

ROE(収益性)とPER(期待)とPBR

ROE(株主資本利益率)は以下の式で計算されます。

$$ROE=\frac{当期純利益}{純資産}$$

ここで、当期純利益を1株あたりにしたものがPERの分母であるEPS、純資産を1株あたりにしたものがPBRの分母であるBPSです。
これをもとにROEを変形して分母を払うと以下のように変形できます。

$$ROE=\frac{EPS}{BPS}=\frac{株価/BPS}{株価/EPS}=\frac{PBR}{PER}$$

$$ROE×PER=PBR$$

つまり、ROEとPERが低下するとPBRも低下するという考え方が導けます。

これは、ここ数年間の地銀のPBRが低迷していることと照らして考えるとわかりやすいでしょう。
2016年のマイナス金利政策導入以降、経営環境の悪化からほとんどの地銀のPBRが1倍割れになりました。また、今回の相場下落では三井住友FGのようなメガバンクもPBR0.4倍程度まで調整しています。
これは超低金利環境下で、収益性(ROE)が悪化し、利益成長が期待できないことからPER(市場の期待)も低倍率で推移しているため、PBRも低迷していると説明できます。

参考:PERは単純な割安度の指標というより市場参加者がつける「オッズ」です

悪環境期には景気敏感に限らず多くの銘柄で収益性悪化とPER縮小が発生するため、PBRが低下しても投資妙味ありとは言いにくくなります。

おわり

以上です。

PBR1倍は心理的にも理論的にも意味がある数字ですが、PBR1倍割れもまた理屈から説明できます
下値やリバーサルの目処として見ることは合理的ですが、割れたからといって機械的に買い進めるのは慎みたいと考えています。

ご参考になれば幸いです。

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