株式投資

市場急落時の点検事項、コロナウィルス編【市場ファクターを収益化するということ】

本稿では、分散された株式ポートフォリオ(インデックスファンドやロングオンリーの伝統的アクティブファンド)を保有している投資家が相場急変時に点検すべき事項について解説します。
似たような内容を以前noteに書いてSMBC日興証券主催のコンテストで佳作をいただいたのですが、今回はもっと踏み込みます。

ポイントは「市場ファクターを収益化するとはどういうことか?」です。

コロナウィルスへの懸念による市場急落

新型コロナウィルス流行への警戒から、2月24日以降、全世界で急激に株価が下落しました。
日米欧の株価指数は、2月末時点で2020年の高値からの13%前後下落しています。
このほとんどが2月第4週に起こっており、下落のペースは急落と呼ぶにふさわしいものの、現物を分散して保有していれば今のところ許容できる下落率だと思います。
とはいえ、反発することなく連日ダウが数100~1,000ドル前後の下落を繰り返しており、先行きへの不安感から売りが売りを呼ぶ展開になっているのも確かです。
自分もこの1週間で100万円くらい資産が減りました。
また、マスコミの危機感を煽る報道はいつもの通りですが、街中の人通りが明らかに減っていること、学校の休校要請、マスクやトイレットペーパーの品不足など、身近な異変が先行きへの不安に拍車をかけています。

市場急落時の点検事項

市場の変動が激しい時は自分のポートフォリオについて以下の点を点検してみてください。
興味を持っていただけた方は前掲のnoteもご覧ください。

比較対象として、以下に2020年の高値から2月末までの日米欧&先進国全体&エマージング全体の株価指数の騰落率を載せておきます。
また、最下段にあるとおり、この間にはドル円は112円10銭から108円07銭(3.6%)まで円高が進行しています。


円建ての米国株、先進国株の下落率が15%~16%程度です。

含み損益率

まず、個別の銘柄やファンドの含み損益率を確認します。
含み損益は、該当するプロダクトを適切なタイミングで買えているかの基準にはなりますが、今後どうなるかは関係ありません。
ただ、含み損が16%より大きな銘柄は、円建てのS&P500の下落率を超えて下落しているため、今回の下落相場の中で特に忌避されている可能性が高いです。
保有の目線とシナリオについて再検証してください。

月次リターン

続いて、自分のポートフォリオの2月の月間リターンを確認します。
証券口座の数字から保有証券のリターンを計算する場合は、

(2月末の株式・投信の時価残高+月中の売却金額-月中の購入金額)÷1月末の株式・投信の時価残高

で計算するのが簡便です。
公募投信の28日の基準価額では、外国株は27日終値、為替レートは28日TTM(日本時間午前10時)なので、28日の変動分も加味したい場合は▲2%調整すると丁度いいと思います。
配当や分配はとりあえず無視していいでしょう。

前掲の通り、円建てのS&P500の高値からの下落率は16%程度ですが、1月末から2月末までの下落率は8.5%程度です。
自身のポートフォリオの2月のリターンを計算して8.5%を大きく下回っている場合は、その原因となっている銘柄やファンドについて、保有期間の目線とシナリオを再検証すべきです。

ポジションサイズ

自分は、分散された株式ポートフォリによる資産運用で最大ドローダウン(高値から安値までの下落率)として想定しておくべきなのはマイナス50%だと考えています。
リーマンショック経験者として当時の円建てのMSCI KOKUSAIの実績値をもとにしています。
また、本邦投資家ではGPIFを含めて外国株のリスク(標準偏差)を25%程度と見ているところが多いですが、50%は25%の2σ(標準偏差)でもあります。

とりあえず今回の高値からの下落率として

自分の2月末の証券時価残高×1.19(高値からの下落を戻す)×0.5(最大ドローダウン50%)

を計算し、資産がここまで減少することが許容できないのであればリスクを取りすぎています。
タイミングは各投資家の判断次第ですが、保有資産の一部売却を検討すべきかもしれません。

市場リスクプレミアムを収益化するということ

以下では、インデックスファンド長期投資がどういう戦略なのか、少し掘り下げて記載します。

インデックスファンド投資の100%、ロングオンリーの株式投資の多くの部分(5割から8割)は、株式市場全体の収益率を享受する戦略です。
この、株式市場全体の収益率は市場リスクプレミアム市場リスクファクターと呼ばれます。

分散された株式ポートフォリオへの長期投資では、市場の悪環境機を完全には避けられません
外国株インデックスの収益率8%・標準偏差25%という数字は、分散された市場インデックスのリスク・リターンを取ると、8%の平均的な収益が期待できるが、それは標準偏差25%というかなり大きな変動を伴うということを意味しています。
すなわち、相場が堅調な時の収益は、相場が不調な時の損失の裏返しです。
もし、相場が不調な時の損失を回避し、上昇相場による収益のみを享受したいと考えるのであれば、相場観に基づく売買が必要であり、これは裏目に出ることもあります。
以下の記事では相場観に基づく適切な売買が外れた時のインパクトについて解説しています。

株価は正規分布よりロングテールであるということ(32年間のS&P500から)

長期の目線でインデックスファンドや分散された株式ポートフォリオを保有するというのは、堅調な相場も不調な相場も経験し、市場リスクプレミアムを享受する戦略です。
そして、積立投資や定期的な取り崩しのような時間分散の手法は、悪環境期と好環境期へのエクスポージャー(資金をさらすこと)を平準化するためにあります。
「インデックスファンドを積立投資する」という手法は、時間分散で悪環境期と好環境期へのエクスポージャーを平準化しながら市場リスクプレミアムを享受する戦略に他なりません。
好環境期だけでなく、悪環境期とも添い遂げる戦略なのです。

おわり:悪環境期を生き残る

以上です。

昨今の老後資金2,000万円への業者の喧伝や、2013年以降の上昇局面で市場に参入した投資家の積立投資賛美の中には、この悪環境に耐えるという視点が足りないものも見受けられます。
特に、長期の米国株や先進国株の右肩上がりのチャートからは、悪環境期に耐えることがイメージしにくいです。

インデックスファンドを積立投資するという戦略について、上記の事項が少しでも参考になれば嬉しく思います。

生き残りましょう。

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