株式投資 取引・配当・コーポレートアクション

よく分かる公募増資(フロー、用語、株価への影響):JR西日本のケース

2021/9/4

本稿では、上場会社の公募増資を2021年のJR西日本の事例を題材に解説します。 日本経済新聞  1 Tweet 8 UsersJR西日本、公募増資など最大2786億円調達 グループ初https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF018150R00C21A9000000/JR西日本は1日、公募増資などで最大2786億円を調達すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い鉄道利用が落ち込み、2022年3月期は2期連続の連結最終赤字となる見通し。財務基盤の立て直しを急 ...

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株式投資

2021年7月中国株急落を2018年以降の米中対立の枠組みで整理する

2021/8/14

2021年7月、テクノロジー関連銘柄を中心に中国株が大きく下落しました。 本稿では、この2021年7月の下落に至るまでの経緯を2018年から続く米中対立の文脈で整理します。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 赤く燃える市場(2021年7月)1.1 2021年7月の出来事2 米中対立下の中国企業に対する米・中両国からのプレッシャー2.1 今に続く米中対立の発端は関税2.2 安全保障と中国企業2.3 中国企業への投資制限2.4 中国政府による中国IT企業への締付け3 おわり 赤く燃える市場(2021年7月 ...

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株価指数

日経平均の算出方法と問題点(+2021年の算出方法変更)の解説

2021/7/7

2021年10月から日経平均の算出方法が変わります。 本年5月に日本経済新聞社は変更点をまとめたドキュメントを公開しパブリックコメントを実施。 7月5日にパブリックコメントへの回答と変更後の算出要領を公開しました。 本稿では、現在の日経平均の算出方法・問題点を解説したうえで、算出要領の変更点について解説します。 現行の算出方法の解説と問題点にもかなり文字数を使っていますので、変更点のみに注目している方は↓の目次を活用してください。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 現行の算出方法と問題点1.1 202 ...

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株式投資

パナソニックのテスラ株売却がすぐに報じられなかった理由(IFRS包括利益の罠)

2021/6/26

2021年6月25日、パナソニックが同社が保有するテスラ株式を2021年3月末までに全売却していたと報じられました。 パナソニックは2010年にEV用電池事業に関する関係強化を目的としてテスラ株を取得しており、当初の取得金額24億円に対し、今回の売却額は4,000億円程度と報じられています。 テスラは昨年からのコロナ相場で話題の中心となった銘柄の1つであり、本件は大いに注目されました。また、25日のパナソニック株は前日比4.9%と大幅に上昇しました。 日本経済新聞  187 Tweets 140 ...

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株価指数 株式投資

日経平均先物と現物の日経平均の価格乖離(配当と金利と貸株)

2021/3/25

本稿では現物の日経平均株価と日経平均先物の価格乖離がなぜ起こるかについて解説します。 実際の数値例を出しますので、教科書的な知識と現実のブリッジとして読んでいただけると書いた甲斐があります。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 日経平均と日経平均先物の価格乖離1.1 配当と金利と貸株1.2 配当と短期金利でどの程度説明できるか2 おわり 日経平均と日経平均先物の価格乖離 現物株225銘柄から算出される日経平均株価(株価指数)と、日経平均株価を原資産とした先物である日経平均先物の価格は、通常は一致しません ...

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株式投資

金利上昇による株価下落でグロース株が特に不利な理由

2021/3/5

本稿では、金利上昇で株価が下落する理由を解説します。 3年前にも似たようなことを書いていますが、現在の局面にあてはめて書きます。 せっかく金利と株価の関係に注目が集まっているのに私の過去記事にはさして流入が無いので悲しいのです。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 金利上昇で株価が下がるメカニズム1.1 金利と株価の関係1.2 配当割引モデルで考える1.2.1 債券への資金流入⇛期待収益率(割引率)の上昇1.2.2 企業業績への影響⇛予想成長率の低下(業種によっては上昇)2 グロース株と金利上昇3 おわ ...

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株式投資

東証の流通株式時価総額の定義変更で何が変わるか

2021/2/18

2022年4月に東京証券取引所が市場区分の再編を行います。 現行の市場第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編する計画です。 この中で、東証が上場審査と上場廃止基準で使用する「流通株式」の定義が見直されます。 これは、2019年に実施された金融庁の審議会でも言及されていましたが、2020年12月に東証から変更後の具体的な計算方法が公表されました。 本稿ではこの「流通株式」の定義の変更について、現在の基準との違い等の観点から解説します。 東証の資料 ...

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投資信託

アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスとは

2021/2/5

金融業界では「デューデリジェンス」という言葉が2つの意味で使われます。 もともとDue Dilligenceという言葉は「適切な注意義務を果たす」「適正な手続きを踏む」というニュアンスの言葉です。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 M&Aにおけるデューデリジェンスと資産運用におけるデューデリジェンス2 アセットマネジメントにおけるデューデリジェンスの全体像2.1 資産運用のデューデリは誰がするか2.2 資産運用のデューデリのフロー2.3 資産運用のデューデリの評価項目2.3.1 定量評価2.3 ...

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株価指数

全世界株指数にはREITが含まれているがTOPIXにはJ-REITが含まれない

2021/1/28

本稿では、世界のメジャーな株価指数はREITを含むが、日本で算出されている日経平均やTOPIXにはなぜかJ-REITが含まれていないという問題を掘り下げます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 S&P500もMSCI ACWIもREITを含む2 TOPIXや日経平均はなぜかREITを含まない2.1 J-REITは名実ともに投資法人(ファンド)なのだ2.2 US-REITはファンドっぽくない3 おわり 青(J-REIT)は藍(US-REIT)よりも青し(Investment Trust)? S& ...

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株価指数

バリュー株指数とグロース株指数の計算方法(PBR等で分類)

2021/1/27

本稿では、バリュー株指数やグロース株指数の算出方法を解説します。 日本の投資家が指標として見ることが多い、TOPIX(東証)、ラッセル、MSCIの指数については具体的な算出方法にも触れます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 バリュー株とグロース株2 「バリュー株指数」と「グロース株指数」2.1 バリュー銘柄、グロース銘柄、そして中間の銘柄2.2 TOPIXのバリューインデックスとグロースインデックス2.3 ラッセルのValue指数とGrowth指数2.4 MSCIのValue IndexとGrowt ...

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ETF

全然話題になってない三菱UFJFGのESG/ETNの解説(2070,2071,2072)

2020年11月26日に、三菱UFJフィナンシャルグループが運用管理するESG関連等の3つのETNが東証に新規上場します。
現在の東証ETNは野村ホールディングスの1社供給なので新規管理会社の参入ですが、これが悲しいほどに話題になっていません。

興味がある人のために、自分がETNの有価証券届出書と指数のメソドロジーを確認して気づいた事項をまとめます。

ETNの銘柄概要

今回上場する銘柄は以下の3銘柄です。

証券コード 銘柄名 ベンチマーク
2070 スマートESG30女性活躍(ネットリターン)ETN iSTOXX MUTB ジャパン女性活躍 30インデックス
(ネットリターン)
2071 スマートESG30総合(ネットリターン)ETN iSTOXX MUTB ジャパンESG 30インデックス
(ネットリターン)
2072 トップシェアインデックス(ネットリターン)ETN iSTOXX MUTB ジャパントップシェアインデックス
(ネットリターン)

以下の事項は3銘柄に共通です。

ETN(仕組債)の発行者・・・三菱UFJ証券ホールディングス(MUSCHD)
JDR(信託受益権)の委託者・・・三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)
JDR(信託受益権)の受託者・・・三菱UFJ信託銀行(MUTB)
当初信託元本(≒当初の発行額)・・・20億円
管理費用(≒ETFにおける信託報酬)・・・年率0.85%

また、ETNのベンチマークになっている「iSTOXX MUTB~」で始まる3指数はいずれもドイツ証券取引所傘下の指数算出会社であるSTOXXと三菱UFJ信託銀行が共同算出しています(STOXXはDAX指数の実質的な算出者でもあります。)。

よって本件の3銘柄はオール三菱UFJフィナンシャルグループのETNだと言えます。

執筆時点では、特徴や上場の意図を一般投資家向けに解説しているソースはほとんどありません。
以下の東証のオウンドメディア(マネ部)に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券による解説記事があるくらいです。
一応この記事には指数の特徴と10月末時点の構成銘柄が書かれているので有用な情報ではあります。

ETN-JDRの上場形態(ストラクチャー)

これらのETNは、JDR(Japanese Depository Receipt)方式で東証に上場します。
三菱UFJ証券ホールディングスが発行する社債を、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が委託者として三菱UFJ信託銀行に信託します。
三菱UFJ信託銀行は社債を裏付けにする信託受益権を発行し、東証にはその信託受益権が上場します。
あまり意識されていませんが、これは現存する野村グループのNEXT NOTESシリーズ(2038原油ダブルブル等)も同様のスキームです。
野村ホールディングスのオランダ法人が発行体になっているNEXT NOTESとは異なり、本件の3銘柄の社債の発行体は日本法人の三菱UFJ証券ホールディングスです。
ただ、社債は同社の欧州ミディアムタームノートプログラム(EMTN)に基づくユーロ円債として、日本国外で発行されます。

仕組みはやや難解ですが、償還等をからめずに取引所を通したトレードをするだけであれば、上場株式や投信形態のETFと同じ税制(申告分離課税・特定口座OK)が適用される商品です。

指数の詳細

以下では、3銘柄のベンチマークであるi STOXX MUTBシリーズの指数について解説します。
逐一説明するよりも、指数の全体的な構成から見ていくとイメージしやすいです。
構成銘柄は先に紹介したマネ部のMUMSSによる解説記事に載っているため、ここでは列挙することはせずに、文中に記事へのリンクを貼ります。

(前提1)STOXX JAPAN 600

まず、STOXXの日本株の標準的な指数として、STOXX JAPAN 600という指数があります。
これは、日本株の時価総額&流動性上位600銘柄からなる時価総額加重平均指数です。

(前提2)iSTOXX MUTB JAPAN QUALITY 150

STOXX JAPAN 600からREITを除外した銘柄群を、ROE、自己資本比率、キャッシュフロー獲得能力、事業継続性でランキングし上位150社を選定したものがiSTOXX MUTB JAPAN QUALITY 150という指数です。よくあるファンダメンタルズインデックスの作り方です。
この指数から30銘柄を絞り込み2070と2071の指数が算出されます。

ちなみに、三菱UFJ国際投信が運用するETFの「MAXIS JAPANクオリティ150上場投信 (1460)」のベンチマークはこれです。純資産8億円しかないため持っている人は少ないと思います。

(2070の連動対象) iSTOXX MUTB ジャパン女性活躍30インデックス

iSTOXX MUTB JAPAN QUALITY 150の構成銘柄を、女性活用に関する4つの指標(女性管理職比率、女性役員比率、保育所や育児手当、育児等の理由により離職した社員の再雇用制度)でランク付けし、ランキング上位の30社で算出します。
算出要領記載の正式な英語名称は”iSTOXX MUTB JAPAN EMPOWERING WOMEN”です。
採用銘柄を見ると、結構自分のイメージ通りでした。
生活必需品や医薬バイオが目立つ一方、金融は損害保険2社(東京海上とSOMPO)が採用されているだけです。駄目な業界です。

この指数も含めて、本件の3指数は全て時価総額加重平均でも単純平均でもなく均等ウェイトです。
30銘柄なので時価総額加重や単純平均にすると大型株や値嵩株の影響が大きくなりすぎるからでしょう。

(2071の連動対象) iSTOXX MUTB ジャパン ESG 30 インデックス

iSTOXX MUTB JAPAN QUALITY 150の構成銘柄から、軍需産業等を除きかつESGスコアが高い30銘柄で算出します。
業種のスクリーニングとESGスコアはサステナリティクスというモーニングスター傘下のオランダのESG調査会社のものを使っています。
構成銘柄を見ると、業界のトップ企業が多いだけでなく、ニトリや東京エレクトロンなど成長を続けている大企業が多く、面白いポートフォリオだと感じました。
本件の3つの指数の中で、1年、3年、5年のパフォーマンスが最も優れているのはこの指数です。

(2072の連動対象) iSTOXX MUTB ジャパントップシェアインデックス

1つ戻って、STOXX JAPAN 600からREITを除外した銘柄群の中から、市場占有率が高い事業を持つ30社以上の会社で算出します。
算出要領を見た限りでは、「シェアが高い会社」の選定は、アナリストが市場シェアを精査した数値を使うのではなく、業種分類と売上高の数字からある程度機械的に行うような記載でした。
正式な英語名称は"JAPAN MARKET SHARE LEADERS INDEX"となっています。
採用銘柄を見ると、NTT、JT、東京電力等の規制産業ゆえに高シェアの会社が相応に含まれているため、「ニッチトップの成長企業」をイメージすると違和感があるポートフォリオだと思います。

 

以上が3指数の解説でした。
文中にリンクを貼ったMUMSSの解説のほかにも、以下のリンクの"iSTOXX Index Methodology Guide"の127ページ以降にSTOXXと三菱UFJ信託の共同算出指数についての記載があるので興味がある方はあたってみてください。

指数のリターン

正直、この3商品の情報開示からはやる気が感じられません
新設の商品でも指数はかなり前まで遡って算出しているのだから、指数値とTOPIX対比のリターンを投資家向けにまとめても良さそうなものですが、発行体による情報開示が極めて限定的です。

一応、前掲の東証マネ部のMUMSSの記事にリンクがあるSTOXXのサイトに行けばそれなりの情報が得られました。
(STOXXのサイトのトップからこのページを探すのは極めて難解だったため、マネ部の記事から飛ぶことをおすすめします)
参考までに、円建てネットトータルリターン指数のファクトシートから、指数の騰落率が分かる部分の抜粋を紹介します。

この間の配当込みTOPIXのリターンは過去1年▲2.9%、過去3年▲4.0%と極めてパッとしないので、それと比べるとかなり良く見えます。

おわり:なぜETFでやらない?

以上です。
もとの指数はTOPIXと比べるとかなり良いパフォーマンスです。

一方、ETNの管理費用が年間0.85%と手数料を抑えたアクティブファンド並みに高い点が気になりました。
スマートベータ/ファンダメンタルズインデックスの商品としては強気過ぎるように感じます。
例えば、指数の詳細で触れた三菱UFJ国際投信の1460は、本件3銘柄と同様にSTOXXとMUTBの共同算出指数をベンチマークにするプロダクトですが、1460の信託報酬は年率0.24%です。
一応、東証上場のETF/ETNでは、日経平均レバレッジ&ダブルインバースや原油ダブルブルがほぼ同水準の料率です。ただ、本件の3銘柄は、これらの先物代替で使われる商品とは立ち位置が異なる商品だと思います。

また、グループ内の運用会社である三菱UFJ国際投信で投信形態のETFとして組成することも可能そうな運用内容なのに、なぜETNにしたのかが不可解という疑問もあります。
例えば、小型株が多く含まれるポートフォリオであれば、執行コストや流動性を考慮してETNにするのは理にかなっていると思うのですが、これらの指数はいずれも時価総額・流動性上位600社から選出しているため、その可能性は低いと思います。
裏側で別の商品が絡んでいるか、またはSTOXXとの提携の関係で新商品を作る必要があったのか、いろいろと妄想が捗るプロダクトです。

  • この記事を書いた人

ton

2007年から運用会社や金融機関の運用部門で株を中心に見てきました。 現在は運用業務からは離れていて運用は自己資金のみ。 投信の請求目論見書や指数の算出要領からプロダクトの中身に迫るのが好き。

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