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バンガード日本撤退の国内個人投資家への影響

2020年8月26日、大手運用会社のバンガード・グループが日本市場からの撤退を発表しました。


翌27日に日本法人であるバンガード・インベストメンツ・ジャパンからも今後の方針が公表されました。

運用継続と情報発信の停止

ポイントは2点です。
・バンガードETF(撤退する香港上場を除く)や、日本のビジネスパートナーとの提携商品(楽天バンガードやセゾンバンガード)は、引き続き海外拠点で運用を行う。
・バンガードジャパンのウェブサイト等は今後数ヶ月で段階的に閉鎖する。

そのため、既存商品は問題なく運用継続されるものの、今後はバンガードの日本語の情報発信は大幅に減るか無くなる可能性があります。

もともと、楽天バンガードやセゾンバンガードの投信の委託会社は楽天投信やセゾン投信です。
バンガードジャパンが撤退しても、これまでと同様に委託会社による情報発信と情報開示が継続します。

一方、米国ETFは、バンガードジャパン撤退以降は日本語の情報発信はあまり期待できません。
パフォーマンスやファンド情報の確認が本国のサイトだけになるかもしれません。
ただ、もともと目論見書や年次報告書は邦訳されていなかったので、これまでも詳しく見る必要がある人は英語を読まざるを得ませんでした。
2000年代から見ていた人は覚えているかもしれませんが、同社の日本語の情報発信は2010年代に大きく拡充しました。この点については時計の針が10年以上戻ると見ています。

バンガード・ジャパンの位置づけと背景の考察

以下では、少し踏み込んだ考察をします。
推測が入るため割り引いてご覧ください。

もともと、バンガードジャパンには運用機能はありませんでした。
・機関投資家向けのクライアントサービス
・ETF投資家に向けた情報発信
・日本の委託会社と提携した国内籍公募投信の関連業務
このあたりが主要業務だったはずです。

実はバンガードは数年前に日本でも金融庁に投資信託委託の登録を行い、投資信託協会にも加入していました。
これは、業務体制を整え、販売会社についてもらうか直販で受ける決断さえすれば、バンガード・インベストメンツ・ジャパンが委託会社になって国内籍の投資信託を設定できたということです。
外から見る限りでは、日本におけるビジネス拡大に意欲的な印象を受けていたため本件は意外でした。

バンガードの公表では「国際事業部門のビジネス戦略および拠点の見直し」という理由が挙げられていますが、より具体的には以下のような判断があったのではないかと推測します。
・販売会社系列の運用会社が有力な日本の資産運用リテールビジネスの歪み
・ETFの情報発信は効果測定が困難(米国ETFへの日本からのフローの正確な把握は無理です)
・提携運用商品は設定後はバンガードジャパンに出来ることが少ない

また、自分は昔、バンガードの方と仕事でご一緒したことがありますが、同社は商品の新規設定に慎重な会社(悪く言えば「嫌がる」会社)という印象があります。
既存商品に自信があるからかもしれませんが、米国ETFのような、既に大きなビジネスになっているファンドにアクセスしてくれればそれでいいという姿勢を感じました。
実際に、楽天バンガードの中身は米国ETF、セゾンバンガードの中身はアイルランド籍の機関投資家向けファンドであり、新商品というよりはチャネルの拡充でした。
このあたりも関係するように思います。

おわり

以上です。
公募投信や米国ETFの投資家は特に心配したり乗り換えを検討する必要は無いでしょう。
ただ、バンガードジャパン撤退以降の米国ETFの情報発信がどうなるかは注視すべきと考えます。

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