ETF

東証ETF解説:1570NF日経平均レバレッジETF

2020/10/26

ネタに困ったので、東証上場ETFを順番に解説する企画を始めます。 楽天証券の買付代金ランキング・保有残高ランキングを参考に注目度が高い50銘柄を取り上げたいと考えてます。 似たようなことやってる人は多いと思いますが、仕事でファンドや運用会社のデューデリジェンス(調査)をしていた人間が書くものはあんまりないと思うので参考にしてネ。 一発目は1570日経平均レバレッジETFです。 良くも悪くも現在の日本のETF市場はこれ抜きには語れません。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 ファンド基本データ2 パフォー ...

ReadMore

株式投資

ドコモのTOBで学ぶヘッジファンドのM&Aアービトラージ

2020/10/1

2020年9月30日から、日本電信電話(NTT)は子会社のNTTドコモ株式のTOBを開始しました。 本稿では、このTOBを題材にヘッジファンドの戦略の一つであるM&Aアービトラージ(裁定取引)を解説します。 TOB初日のドコモ株式の市場終値は3,885円となり、ほぼTOB価格の3,900円近辺まで上昇しました。 この差額の15円に関する取引の解説です。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 TOBの条件2 TOB価格と市場価格の乖離3 市場価格とTOB価格の乖離を取る取引3.1 M&Aアー ...

ReadMore

株式投資

iOS14の株価ウィジェットの注意点と暫定的な対処(表示銘柄数が減る)

2020/9/20

日本時間の9月18日頃から、iPhoneの最新OSであるiOS14にアップデート可能になりました。 目新しい新機能はいろいろありますが、株価ウィジェットの仕様に注意が必要だと感じたので記事します。 一応当ブログは「iOS 株価 TOPIX」で検索すると最上位近くにあらわれるiOS株価ウィジェットのオーソリティサイトです(大言壮語)。 銘柄数が減る(最大12銘柄⇛6銘柄に) iOSの株価ウィジェットは歴史的に、 純正の「株価アプリ」のウォッチリストに登録した銘柄を上から順にいくつか表示する という挙動をして ...

ReadMore

取引・配当・コーポレートアクション

みずほFGの事例で株式併合と単元未満株と端株を解説

2020/9/19

みずほフィナンシャルグループが、2020年10月1日付けで10対1の株式併合を行います。 本稿では、株式併合の注意点について本件を題材に解説します。 「単元未満株式の取り扱い」「端数の処理代金」「なぜ会社は株式併合をするのか」についても解説します。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 株式併合とは1.1 会社法の規定1.2 みずほFGの併合のスケジュール2 株式併合の論点2.1 単元株制度との取引所の売買単位2.1.1 会社法における単元株式制度2.1.2 単元株数と売買単位のリンク2.2 端株の取り扱 ...

ReadMore

株式投資

ソフトバンクのオプション取引のニュースを理解するためだけのオプションの解説

2020/9/6

2020年9月4日、米国株が主力ハイテク銘柄を中心に調整するムードの中、ソフトバンクグループのオプション取引の報道が世界中に流れました。 もとの報道は英Financial Timesです。 www.ft.com  2 usersSubscribe to read | Financial Timeshttps://www.ft.com/content/75587aa6-1f1f-4e9d-b334-3ff866753fa2News, analysis and comment from t ...

ReadMore

ETF

バンガード日本撤退の国内個人投資家への影響

2020/8/28

2020年8月26日、大手運用会社のバンガード・グループが日本市場からの撤退を発表しました。 JP  5 users米バンガード、日本と香港から撤退へ 中国本土に重点https://jp.reuters.com/article/vanguard-hongkong-exit-idJPKBN25M1A0米資産運用会社バンガード・グループは26日、日本と香港から撤退すると発表した。香港上場投資信託(ETF)の取り扱いも中止する。 翌27日に日本法人であるバンガード・インベストメンツ・ジャパン ...

ReadMore

株価指数 取引・配当・コーポレートアクション

ダウ工業株30種平均の計算方法(算出要領の概説や日経平均との違い)

2020/8/26

ダウ工業株30種平均の算出方法を具体的に解説します。 計算方法にフォーカスして、算出者のS&Pダウ・ジョーンズインデックス社が公表するメソドロジー(算出要領)の相応に深いところにも言及します。 その代わりに「1896年に12銘柄で始まった」等の定性的な情報は本稿では取り上げません。すでに巷に溢れていますので。 ちょうど2020年8月末にアップルの株式分割(ウェイト大幅低下)と象徴的な銘柄入替えを控えているため基本を見ておくには良い機会だと思います。 参考:2020年8月31日基準の銘柄入替え IN ...

ReadMore

取引・配当・コーポレートアクション

Appleとテスラの株式分割の注意点(Record Date≠日本株の基準日)

2020/8/24

時価総額世界最大のAppleと、時価総額世界最大の自動車メーカーのテスラが2020年8月に株式分割を行います。 報道では、Appleの株式分割は「8月24日が基準日・分割後ベースの取引は8月31日から」と書かれています(テスラは8月21日が基準日・分割後ベースの取引は8月31日)。 Bloomberg.com  4 usersアップル、1対4の株式分割発表-株価400ドルに迫る大幅上昇でhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07- ...

ReadMore

ファイナンス理論

Excelによるアセットアロケーションの最適化計算

2020/7/31

本稿では、教科書的なアセットアロケーションの最適化計算をEXCELで行う際のアプローチについて解説します。 全世界株、米ドル建債券、ゴールドの3資産のケースを例に、EXCELのソルバー機能を使って最小分散ポートフォリオとシャープレシオ最大化を計算します(効率的フロンティアは今回は無し)。 実際に手を動かして「最適化」と言っても快刀乱麻を断つようなソリューションではなく、インプットする数字や最適化指標の選択に大きく左右されるものだという実感を持っていただければ嬉しく思います。 目次(クリックで各項目にジャン ...

ReadMore

ETF

ETFの換金売りはなぜ7月上旬なのか(ETFの決算分配金のフロー)

2020/7/15

7月上旬の市況コメントには「ETFの換金売りが重石」というコメントがよく出てきます。 例えば以下のロイターの7月7日の記事には、 JP〔マーケットアイ〕株式:日経平均は下げ幅拡大、ETF分配金の換金売りを警戒https://jp.reuters.com/article/tokyo-stx-idJPL4N2EE10N<13:15> 日経平均は下げ幅拡大、ETF分配金の換金売りを警戒 日経平均は下げ幅を広げ、前場の安値に接近してきた。目新しい売り材料はないものの、8日と10日に指数連動型ETF(上場投信)の分 ...

ReadMore

ETF

2038原油ダブルブルETNとWTI原油の乖離について(東商取は期先が中心限月)

本稿では、東証上場ETNのNEXT NOTES日経・TOCOM原油ダブル・ブル(2038)が報道ベースの原油先物価格の2倍になっていないように感じる理由に踏み込みます。
東証上場の原油ETFである1671と1699の2020年3月以降の価格乖離を記事にしたところ、「2038があまり上がっていないことも話題になっていた」というコメントをいただきました。
この点について、2038とベンチマークの日経東商取原油指数(レバレッジあり/なし)の特徴から見ていきます。

2038 原油ダブル・ブルETNの概要

ETNの仕組み

NEXT NOTES日経・TOCOM原油ダブル・ブル(2038)は、ETNと呼ばれる上場指数連動債券(仕組債)です。
特定の指数のリターン(+手数料相当額)に連動して償還価額が変動する債券が証券取引所に上場しているもので、ETF等と同様にベンチマーク(対象指数)に連動した投資成果を目指すプロダクトです。
(厳密には、仕組債をさらに信託受益権で包んだものが上場しており、ETN/JDRと言われます。)
このNEXT NOTESシリーズのETNは、野村グループの資金調達子会社であるノムラヨーロッパファイナンスN.V.(オランダ法人)が発行し野村ホールディングスが保証する債券です。
債券であるため、発行体/保証人である野村ホールディングスの信用リスクを取りますが、償還価額(≒基準価額)はあらかじめ決められた方法で機械的に計算されるため、償還価額のベンチマークからの乖離は管理費用(≒信託報酬)相当額だけです。これはそのままETFと比較したETNのデメリット・メリットです。

日経・東商取原油レバレッジ指数

2038がベンチマークにしているのは「日経・東商取原油レバレッジ指数」です。
これは東京商品取引所(TOCOM)の原油先物価格から算出される「日経・東商取原油指数」の日次の騰落率を2倍にしたものです。「日経平均」と「日経レバレジッジ・インデックス」の関係と同じです。
レバレッジETFの解説でも書きましたが、日次の騰落率を2倍にしているだけなので、1ヶ月や1年間の騰落率はもとの指数の2倍にはなりません。

2038とWTI原油の価格差

2038と関連指標の騰落率

以下の表は、2020年3月以降の「2038の償還価額」「レバレッジなしの日経・東商取原油指数」「WTI原油先物円換算」の日次の騰落率を並べたものです。WTI原油先物円換算は、前営業日の米国の終値を当日の日本の銀行TTMで円換算したものの騰落率です。
大きな差が出ている日を強調表示しています。

一見して、2038の償還価額は確かにレバレッジなしの日経・東商取原油指数の2倍になっていることが分かります。1日に数ベーシスの差が出るのはETNの管理手数料相当額でしょう。
つまり、2038が報道ベースの原油価格と異なる動きをしているように感じるのは、レバレッジをかける前の日経東商取原油指数と報道ベースのWTI原油先物価格の差異です。

日経東商取原油指数とWTI原油つなぎ足の差異要因

以下のチャートは、2019年初から足元までの、レバレッジなしの日経東商取原油指数とWTI原油(つなぎ足)円換算の推移です。

値動きの方向は同じですが、WTIの方が変動幅が大きい(派手に動く)ようなチャートです。

推測も入りますが、日経東商取原油指数とWTI原油(のつなぎ足)の差異要因は以下の3点だと考えています。

つなぎ足とロールオーバーを考慮した指数の差(比較的影響小さそう)

原油ETFの重要なポイントである、つなぎ足と先物の期間構造(コンタンゴ/バックワーデーション)の影響はこの日経東商取原油指数とWTIのつなぎ足にも該当すると考えています。
算出要領(メソドロジー)を確認したところ、基本的に日経東商取の指数は月初5営業日目から5日間かけてロールオーバーするように算出されるようです(商品によって差あり)。

ただ、先に挙げた日次騰落率を見ると、日次では値動きの方向がそもそも逆の日があるため、これだけでは説明できません。

WTI原油とドバイ原油の違い

主要な原油価格の指標は「WTI」「北海ブレント」「ドバイ原油(中東原油)」の3つです。東商取の先物はドバイ原油です。
これらは同じ原油ですが商品性は相応に異なり、
①WTIは硫黄分が少なくガソリンが多く取れるため高価である、
②需要地の在庫状況が価格に影響する(例えば米国内の在庫状況はWTIへの影響がより大きい)
といった差異があります(教科書的な説明)。
また、取引時間が異なるため、東商取の日中取引の終値ベースで算出されるETNの償還価額前日の米国時間のWTI先物の終値を比べると、時点にも差が出てしまいます。
(夜間取引を考慮するとNYMEXのWTI原油先物との東商取のドバイ原油先物の取引時間はそれなりに被っているので、同じ時間帯の足で比較すると違った絵が見えるかもしれません。ただ、個人の環境ではここまでの比較は難しいです。)

このように、同じ「原油先物」であっても、商品性や取引時間が異なるため、価格形成に影響が出ている可能性があります。

中心限月の違い(おそらく超重要)

WTI原油先物と東商取のドバイ原油先物は、中心限月が違います。中心限月とは、取引量が多く、指標となる限月(銘柄)のことです。

WTI原油先物は、一番期限が近い「直近限月」の先物が中心限月になります。本稿を執筆している2020年4月7日時点では、2020年5月限が直近限月です。
WTI原油に限らず、海外市場の商品先物の多くが、直近限月が中心限月であり、直近限月の取引終了日が近づくにつれて、徐々に取引の中心が第2限月に移っていきます。

これに対して、東商取の先物は「期先限月」の先物が中心限月です。WTIとは逆に、期日が遠い先物の方が流動性が高いです。
個人の投機的取引を理由に挙げるものや、他市場との裁定取引が背景にあるという説明もありますが、自分には正確な理由は分かりません。ご存知の方がいましたらコメント欄かTwitterで教えていただけないでしょうか。

実際に、2020年4月7日のTOCOMのドバイ原油先物の日中取引では2020年8月限と9月限に出来高が集中しており、4,5,6,7月限の出来高は少ないです。

そのため、指数の計算も流動性が高い期先物の価格を採用しており、算出要領にも以下の記載があります。

中心限月を対象限月とする。なお、現状東商取市場における中心限月は5 番限月又は6番限月となる。

原油先物間の価格差の要因を相場の先高感・先安感原油の保管コストに求めるならば、3~4ヶ月の差は価格形成に大きな影響を与えると考えられます。

おわり

以上です。
実はちゃんと見るまで、2038原油ダブルブルと1671や1699のような原油ETFの相違点は、レバレッジの有無とWTIとドバイのちょっとした違いだと考えていました。見てる限月が結構離れていることは覚えておこうと思います。

 

  • この記事を書いた人

ton

2007年から運用会社や金融機関の運用部門で株を中心に見てきました。 現在は運用業務からは離れていて運用は自己資金のみ。 投信の請求目論見書や指数の算出要領からプロダクトの中身に迫るのが好き。

-ETF
-, , ,

© 2020 儲からない投資の知識