雑誌やウェブサイトの企画で「投資信託ランキング」が発表されることがあります。
評価基準は主催者によって様々ですが、パフォーマンスか人気(資金流入額や口コミ)のどちらかを重視している場合が多い気がします。
例えば、こちらのダイヤモンドZAIの記事(「つみたてNISA」で人気の投資信託ランキング!)は、資金流入額(買付額)のよるものです。
https://diamond.jp/articles/-/192911
また、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」は口コミですね。
http://www.fundoftheyear.jp/2018/
こうしたランキングは参考になることもありますが、その情報だけで投資する人はいないでよしょう。
特に私は、以下の項目が同種のファンドと比較してどうかを、投資前に確認するようにしています。
・過去(3年、5年)のパフォーマンス
・純資産残高(償還されないため)
・信託報酬・販売手数料等のコスト
この記事では、証券会社や評価会社が提供しているものを中心に、自分で投資信託をランキング付したり、スクリーニングするのに役立つ情報源についてまとめています。
私のオススメは、
・楽天証券かSBI証券を使っており、同社で購入できるファンドを探したい人はその2社のサイト
・上記2社で取り扱いのない商品を含めてスクリーニングするにはモーニングスターのサイト
です。
ちなみに現在日本にはどのくらいの数の投資信託があるかご存知でしょうか?
投資信託協会の資料によると、2019年1月末時点で、日本には
5,801本
の追加型株式投資信託が存在します(うち184本がETF)。
ここまで多いと目当てのファンドを探すのもなかなか大変ですよね。
大手ネット証券のサイト
証券会社や銀行のような投信の販売会社は、投信の情報を自社サイトで発信していますが、当然、各社で取扱っているファンドだけです。
ただ、大手のネット証券は、投資信託の取扱銘柄を拡充しており、特に楽天証券とSBI証券は本稿の執筆時点で2,700本弱の投資信託を取扱っているため、情報は非常に充実しています。
両社とも、リターン(収益率)、信託報酬、純資産残高等で詳細な絞り込み検索ができるので、昇順・降順表示を使えばスクリーニングやランキングに便利です。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/search/result.html
https://site0.sbisec.co.jp/marble/fund/powersearch/fundpsearch.do?
また、現実的な話として、ネットで情報収集する方の多くは大手のネット証券をメインで使っているのではないでしょうか。そして、わざわざ自分の取引証券会社以外に口座開設してまで買いたいファンドというのはそこまで多くないと思います。
両社のサイトの特徴を整理しておきます。
楽天証券のサイトの特徴
データ提供元がQUICKのため、資産タイプやファンドタイプはQUICKの分類です。
ただ、ファンドのレーティングは、楽天証券が自社で付与しています。
とても有用なのが「楽天証券分類」というファンドのカテゴリの詳細な分類をしている点です。この分類では、為替ヘッジや通貨選択型の有無の指定ができます。後述するR&Iの分類と似ているかもしれません。
サイトによっては、投資戦略が違いすぎるファンドが同じカテゴリに入ってしまうことあります。楽天証券のサイトでも、日本を除く全世界の株のファンドを探すために、カテゴリ「国際株式」だけで検索してランキング付けすると、エマージングの単一国に投資するファンドが一番上に来ますが、この楽天証券分類を指定すると相当程度避けられます
例えば、オーソドックスな外株ファンドのランキングが見たいのであれば、楽天証券分類を「先進国株式(広域)ー為替ヘッジなし」にすれば基本的にヘッジなしの外国株アクティブファンドが検索結果に出てきます(テーマ型は含まれます)。
SBI証券のサイトの特徴
モーニングスターのデータを使っています。ファンド分類や投資地域はモーニングスターの分類になるほか、レーティングも同社の5つ星のものを使っています。
リターンによるスクリーニングが3年まで(楽天証券は5年まで)だったり、検索項目にシャープレシオ(リスク調整後のリターン)が無かったりと、楽天証券と比べるとやや項目が少ないです。
評価会社のサイト
モーニングスター(&ヤフーファイナンス)
投信評価会社のモーニングスターのサイトや、Yahoo Financeでも投信の情報が見られます。Yahoo Financeはデータ提供元がモーニングスターなので、基本的に同じデータだと思います。
インターフェースはYahoo Financeの方がざっくりしており、モーニングスターの方が詳細な条件を指定して検索できます。
http://www.morningstar.co.jp/FundData/DetailSearch.do
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/funds/
大手ネット証券のサイトと比較すると、データの範囲が広いのが特長です。
執筆時点で5,400本程度のファンドをカバーしており、その中には、販売会社が大手証券会社1社だけのものなども含まれています。
投信ビジネスでは、設定後しばらく(1年~2年)は設定時の販売会社専用にし、その後は販売会社を増やしていくようなこともあります。また昔の話ですが、販売会社によっては基本的に専用ファンドにし、販売会社の追加を許さないという話も聞いたことがあります。(怖い話です)
また、同社は月次で資金流出入のデータも公表しているので、ビジネスの視点で投信を見る場合は有用だと思います。
ただ、パフォーマンスとの関係はなんともいえません。資金が流入している商品は、運用者の手腕が評価されて資金を集めている場合もあれば、アセットクラスとして人気が加熱して割高な場合もあるでしょう。
https://www.morningstar.co.jp/fund/fund_flow/summary.html
R&I(格付投資情報センター)
格付会社のR&Iもファンド評価や年金向コンサルティングをしており、投信のレーティングやリスク・リターンを公表しています。使用している「R&I投信分類」が精緻で細かいので、同じような戦略のファンドで比較するのに適しています。ただ、検索項目が少なく、純資産総額や信託報酬の情報は無いので、純粋なパフォーマンスを見るためにしか使えません。
https://www.r-i.co.jp/investment/toushinrating.html
超過収益率でランキングできるサイトは無かった
悩ましい点を挙げると、どのサイトでも、アクティブリターン(超過収益率)によるスクリーニングは出来ませんでした。
リターンやリスク(標準偏差)の情報はどのサイトでも調べられるのですが、指定したベンチマークに対して勝っているのか負けているのかの情報が無いのです。
ランキングを順番に見ていくと、勝っているアクティブファンド、インデックスファンド、負けているアクティブファンドの順になるので、インデックスファンドより上位のアクティブファンドはアルファ(超過収益)が出ているとわかります。ただ、本当に欲しいのは、ベンチマークをMSCI KOKUSAIやMSCI Emergingと指定して、それに対する超過収益率のランキングが見られることです。
おそらく、ファンドのベンチマークが様々で、取得にコストがかかるものがあったり、基準価額ベースの数字とベンチマークを比較するのが相応に手間がかかることが原因だと思います。
また、公募のアクティブファンドでは、ベンチマークを参考指数という位置づけにしているものが多いことも一因だと思います。
基準価額ベースでベンチマークと比較することの面倒さについてはこちらに詳しく書いています。
https://in-invest.net/2019/02/06/index_te01/
一応、楽天証券だとファンドの情報の中に「アルファ」という項目があるのですが、これは検索の条件に出来ないため、ランキングにする(降順に並べる)ことが出来ませんでした。
おわり
以上です。
最後に出来ないことも挙げましたが、上に挙げたサイトはどれも有用なので、目的に応じて使い分けるのが良いと思います。参考になれば幸いです。