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インヴィンシブル投資法人を買っていたブラックロックのファンドはドイツのiShares

ホテルREITのインヴィンシブル投資法人(8963)が、5月11日に2020年6月期の業績予想を発表しました。
COVID-19による人の移動の停滞が直撃する銘柄であり、前期比で▲98%減配(2019年12月期実績:1,695円⇛2020年6月期予想:30円)というかなり強烈な数字でした。翌12日の取引では▲22.65%下落のストップ安となりました。
※REITは導管性要件のために毎期の分配可能利益の95%を分配するので、▲98%の減配は▲98%の減益とほぼ同じ意味です。

面白いことに、ブラックロック・ジャパンが同日に提出した大量保有報告書では、4月30日基準でインヴィンシブル投資法人の保有割合が前回提出時の5.05%から6.29%に上昇したことが明らかになります。

 

検索結果には以下のように出てくるので、なんというか晒し上げられているようで少し気の毒に感じました。

 

ブラックロックのどのファンドがインヴィンシブル投資法人を買い増していたのかを気になって調べたので、本稿でまとめておきます。
結論を先に述べるとドイツ上場のグローバル高配当株のiShares ETF(SDGPEX)のようです。

大量保有報告書から分かること

EDINETを確認すると、以下のことが分かります。
(上で挙げた株探の記事はEDINETのXBRLをもとに生成していると思いますが、念のため原典を見たくなります。)

・ブラックロック・ジャパンとその共同保有者のインヴィンシブル投資法人の保有割合
 ⇛前回提出時(2019年6月28日基準):5.05%から今回(2020年4月30日基準):6.29%に増加
共同保有者のうち増加が大きい主体
 ⇛アイ・シェアーズ(デーエー)・アインツ・インベストメントアクティエンゲゼルシャフト・ミット・タイルゲゼルシャフツフェアメーゲン
(iShares (DE) I Investmentaktiengesellschaft mit Teilgesellschaftsvermogen)

 前回報告時の保有割合:ブランク(0%)⇛今回の保有割合が0.93%。
 ブラックロック全体で1.19%の増加の8割はこれで説明できます。

iShares(DE)のどのファンドか?

さて、報告名の”iShares (DE) I Investmentaktiengesellschaft mit Teilgesellschaftsvermogen”で検索すると、ドイツ上場のブラックロックのETFのディスクロージャーが見つかります。
アクティエンゲゼルシャフトは日本語の株式会社に相当するので、会社型投信だと推測します。
ディスクロージャーを見ると、この投資法人のもとに20個程度のファンドがあります。
ほとんどが欧州株STOXX600の業種別指数のファンドですが、その中にJ-REITを含んでいそうなグローバル株のファンドがありました。

ファンド名⇛iShares STOXX Global Select Dividend 100 UCITS ETF (DE)

このファンドはSDGPEXというコードの、ドイツ証券取引所(xetra)上場のETFでした。
ホームページの日次の保有銘柄を確認すると、確かに5月11日基準で1.35%ほどインヴィンシブル投資法人を保有していると開示されています。
ビンゴ!

このファンドの規模は11.7億ユーロ(1ユーロ115円換算で1,345億円)なので、時価総額1,450億円のインヴィンシブル投資法人の発行済投資口の0.93%を保有してファンドの1.35%になるのは数字も整合的です。

STOXXはポンコツか?

上記ファンドのベンチマークはSTOXX Global Select Dividend 100指数です。
STOXXは欧州株のSTOXX600等で有名なドイツ証券取引所グループの指数算出会社です。
ファンドの日次の保有ウェイトを遡ってみたところ、インヴィンシブル投資法人は4月中に組入られていました。
パッシブ運用のETFなので、ファンドがこのタイミングでインヴィンシブル投資法人を組み入れたということはベンチマークのSTOXX Global Select Dividend 100指数が当該銘柄を組み入れたということになります。

いくら配当利回りが高くても、4月の外出制限・渡航制限の状況下でホテルREITを新規採用するなんてSTOXXはポンコツなんでしょうか。
この点を詳しく検討するため指数のメソドロジー(算出要領)に目を通しました。

ポイントになりそうなのは以下の点です。
・STOXXの標準指数の構成銘柄のうち配当利回りが高いものを採用する
・構成銘柄の見直しは、年1回、毎年3月に行う
・直近の実績配当金に基づく配当利回り(Indicated Dividend Yield)を使用
過去5年間に減配がある銘柄や、配当性向60%超(赤字配当もNG)の銘柄は不採用(ネガティブチェック)

一応、減配リスクの高い銘柄を排除するためのネガティブチェックが設けられていますが、これだと過去5年間インバウンド需要に沸いていたホテルREITは排除できません。
現在ホテルREITが直面しているようなビジネス環境の急変による減配リスクを考慮するには、配当利回りがあまりに高い(10%超など)銘柄は採用しない(または定性判断する)ような基準が必要になります。
厳密に言えば、配当性向60%超の基準を徹底していればインヴィンシブル投資法人を排除できましたが、こうすると非課税要件のため毎期の配当可能利益の95%を分配するREITは全てNGになるので、REITにはこの基準を適用していなかったのだと推測します。
(このファンドには、J-REITだけでなく、米国、シンガポール、香港のREITも組み入れられていました。)
気になる方は算出要領の原典を読んでみてください。

おわり:スマートベータ(高配当株指数)の限界

以上です。

STOXXのネガティブチェックは最低限必要なことはやっているため、ここらへんが高配当株指数の限界のように思います。
私見では「配当利回りがその国の10年国債利回り+8%を超える銘柄は算出者が定性判断」とする余地があってもよいと思うのですが、算出者はそんなめんどくさいことはしないでしょう(自分が買うわけでもないので)。
定量的にちゃんと分析したわけではありませんが「高配当株指数」は自分はあまり信じていません。
人間が判断するアクティブ運用の高配当株ファンドなら、4月のタイミングでホテルREITを買うような判断はなかなかしないと思います。

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