投資信託

外国株の投信を購入/売却した時の基準価額はいつのものになるか

2020年3月13日

本稿では、外国株の公募投信を購入/売却した時の基準価額(ファンドの価格)はいつのものになるかを解説します。
世界的に株価が急落しているため、初めて投信を買ってみようという方もいると思います。また、損切りや利益確定のため初めて投信を解約する方で、購入の時はあまり基準価額の時点を気にしていなかったという方にも参考になると思います。

結論を最初に書くと、中身が外国株の公募投信は以下のような取り扱いになるのが一般的です。
・証券会社の申込み期限(15時等)までに購入/売却を申し込むと、申込日の「翌営業日の基準価額」で約定する
・この「翌営業日の基準価額」は、申込み日の海外市場の株価と、申込み日の翌営業日の日本時間午前の為替レートに基づいて計算されている

ただ、ファンドにより個別性がありますので、最終的には投資家自身で確認をお願いします。本文を一読したうえでファンドの目論見書を見れば確認できると思います。

目論見書の申込みメモに当日約定か翌日約定か記載がある

投信の交付目論見書では、最後の方に「お申し込みメモ」という欄があります。
投信の購入(設定)、換金(解約)を申し込んだ時に「いつの基準価額で約定するか」がここに明確に書いてあります。例えば、MUKAMのeMaxisSlim全世界株式(オール・カントリー)の目論見書には以下のように記載されています。

出所:eMAXIS Slim 全世界株式 交付目論見書

また、大手ネット証券のホームページではファンド情報のページに「お申し込みメモ」の抜粋があります。

一般的には以下のように設計されています。

外国株式や外国債券に投資するファンドの場合⇛翌日約定
証券会社等への申込日の「翌営業日」の基準価額で購入・売却が約定する

日本株や国内債券に投資するファンドの場合⇛当日約定
証券会社等への申込日「当日」の基準価額で購入・売却が約定する

ここで、「申込日」の何時までの注文を当日分として扱うかは証券会社等に裁量がありますが、オンラインの注文であれば15時を申込みの締め切りにしている証券会社が多いです。

国内籍の外国株投信の基準価額の計算方法

上記のとおり、外国株の公募投信は申込日の翌営業日の基準価額で約定するのが一般的ですが、この「申込日の翌営業日の基準価額」いつ時点の株価で算出されるのかを以下で解説します。

理解の助けとして、運用会社の実務について少し触れます。
公募投信の運用会社は、日本の毎営業日、夕方18時くらいまでに、ファンドの基準価額を計算します。
公募投信では毎営業日基準価額を算出して公表しなければならないため、運用会社の投信計理部の責任者や管理職は、自社で運用する全ての公募投信の基準価額が無事に算出できるまでは帰れません。「投信の基準価額は毎営業日の夕方までに算出する必要がある」という認識でここから先を読んでください。

基準価額の算出がいつ時点の価格に基づくかは、国内籍のマザーファンドで直接外国株を買うものと、外国籍のファンドを組み入れるもの違います。
楽天のバンガードETFを組み込んだ商品等を除いて、近年設定された低コストの外国株インデックスファンドは国内籍のマザーファンドから直接外国株を買い付けるものが多いです。
ファンドの運用形態は目論見書に目立つように書いてあるので、気にしていなかった方はこの機会に確認してください。

例えば、前述のeMaxisSlim全世界株式(オール・カントリー)の目論見書には以下のように記載があります。

出所:eMAXIS Slim 全世界株式 交付目論見書

これはマザーファンドが3つあるそこそこ複雑な様態のものですが、マザーファンドから直接「先進国(日本除く)の株式等」「新興国の株式等」を買うファンドであることがわかります。

国内籍のマザーから外国株を買う形態の場合

国内籍のマザーファンドから直接外国株を買うファンドでは、株価は前営業日の海外市場の終値為替は当日の日本時間9時55分の為替レート(TTM(対顧客電信為替相場の仲値))に基づいて計算されます。これは投信協会の規則で決まっていますが、もとを辿れば日本時間の夕方までに基準価額を算出する必要があるところから来ています。

具体例を出すと、国内籍のマザーファンドを使うMSCI KOKUSAI連動型の公募パッシブファンドの2020年3月13日(金)の基準価額は、12日(木)の海外市場の終値と、13日の日本時間の為替レートで計算されます。

注意が必要なのは、香港株やオーストラリア株のような、日本とあまり時差が無い国の株価も、前営業日の現地の終値に基づいて計算されることです。上の例だと13日の基準価額の計算に12日のシドニーやソウルやシンガポールの終値が使われます。少々違和感があるかもしれませんが、地域によって日付が異なってしまうのも問題なので、これはこれで理があります。

ちなみに、国内籍のマザーファンドから日本株を買うファンドでは、当日の東証の終値(15時)に基づいて基準価額が計算されます。

外国籍のファンドを組み入れる場合

公募投信から外国籍のファンドを買い付ける場合は、時点は組み入れている外国籍ファンドによって異なります
例えば、米国上場ETFを組み入れている場合は、前営業日の米国のETFの終値と、当日の日本時間のドル円のTTMで基準価額が計算されるため、マザーファンドから直接外国株を買う場合と大きな差は出にくいです。ただ、ケイマン籍やルクセンブルク籍の私募ファンドを組み入れている場合はこの限りではありません。私募ファンドの管理会社(アドミ)の所在地と日本との時差によってはもっと時点がずれる可能性もあります。

以下の記事でディープに書いていますので興味がある方はぜひ併せてご一読ください。

投信基準価額のディープな解説
https://in-invest.net/2018/02/11/nav01/

まとめ

最後にまとめます。

公募投信で国内籍のマザーファンドから外国株に投資するファンドの場合は以下の取り扱いが一般的です。

いつの基準価額で購入/売却されるか?

・証券会社の申込み期限(15時等)までに解約(売却)を申し込むと、申込日の「翌営業日の基準価額」で約定するのが一般的です。

「翌営業日の基準価額」はいつの株価と為替レートで計算されるか?

・「翌営業日の基準価額」は、申込み日の海外市場の株価と、申込み日の翌営業日の日本時間午前の為替レートに基づいて計算されます。ただし、国内籍のマザーファンドではなく、外国籍投信を組み入れている場合は異なる場合もあります。

以上です。なかなか投信を頻繁に売買する人はいないと思いますので、参考になれば嬉しいです。ただ、ファンドごとの個別性もありますので、最終的な確認は投資家自身でしていただくようお願いします。

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