株式投資 取引・配当・コーポレートアクション

株主総会で株主に送付される書類のこれまでとこれから

2022/6/26

2022年9月の改正会社法の施行で株主総会資料の電子提供制度が導入される。これを受けて、2022年6月に多くの上場会社の株主総会で同制度を採用するための定款変更が諮られる。 ※この改正は2019年に成立し、本件以外の改正は2021年3月にすでに施行されている。実務への影響の大きさから1年半遅れての施行となっている。 ※電子提供制度の採用が強制の上場会社については、施行日を効力発生日として定款変更手続きをしたとみなされる強力な経過措置が設けられているが、みなし規定の対象にならない取り扱いもあるため、実際には ...

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経済指標・マクロ

JGB7年債と債券先物(7年債連続指値オペの意義を理解するために)

2022/6/18

本稿では「残存7年の日本国債は長期国債先物と密接な関係にある重要な債券である」ということを解説します。先物の受渡適格銘柄、CF、チーペスト等のトピックを取り上げます。 日銀が連続指値オペの対象に7年債を加えたことの重要さを理解する一助となれば嬉しく思います。 ※自分は基本的に株の人なので本稿のために改めて調べた内容も含まれることにご留意ください。一応ヘッジファンドのデューデリをしたり友人に債券の仕事をしている人がわりといたりと、間接的な関わりはありました。 日銀がYCCの国債の買入対象に残存7年の債券も加 ...

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取引・配当・コーポレートアクション

株主総会シーズンを真面目に楽しむための知識

2022/6/9

株主総会は株式会社の最高意思決定機関です。とはいえ、フルタイムで働いている現役世代が株主総会に参加することは容易ではありません。多くの方は、招集通知を一読する程度の時間しか割いていないと思います。 (議案を精査して議決権行使している個人投資家が本稿をご覧になっていたら身が引き締まる思いです。あなたのような真面目な投資家がコーポレートガバナンスを担っています。) 本稿では、6月の株主総会シーズンを楽しむための知識をまとめます。やや雑多になりますが、株主総会関連の報道や会社からの送付物の理解に役立てば嬉しく思 ...

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ETF

時価総額の大きな日本株ETFの決算日のまとめ

2022/5/6

2022年5月現在の基準で、時価総額(純資産総額)が大きな日本株ETFの決算日の一覧を掲載します。 日銀がETF購入を開始(2010年)してから、度重なる購入規模増額(2013年、2014年、2016年)と、コロナ相場下での積極的な購入(2020年)を背景に、TOPIX型・日経平均型ETFの残高は過去10年間で急拡大しました。 そして、規模が大きなETFの決算のタイミングでは、ETFの分配金対応を意識した売買が見られるようになりました。 東証上場ETFの決算日一覧を掲載しているソースは数多あるが、上記の観 ...

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株式投資

「2021年末を100にして指数化」というチャートはどう作っているか

2022/5/4

複数銘柄を比較する株価チャート等では「〇〇=100として指数化」と書かれているものがある。 例えば、以下はニッセイ基礎研究所が公表している月次の経済動向レポートのもの。 出所:ニッセイ基礎研究所 世界各国の市場動向・金融政策(2022年4月) 株価そのものではなく、基準時点(〇〇)の水準を100にした相対株価を使うことで価格帯が異なる複数銘柄の比較を容易にするためのテクニックだ。 筆者はこの処理を株式運用の部署に配属されて2日目に知った。 初見だと何をしているかイメージしにくいかもしれないので、本稿ではこ ...

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取引・配当・コーポレートアクション

配当金額が非表示(アスタリスク***)の配当金計算書が届く理由を法的根拠を示して解説

2022/5/2

日本の上場株式を保有していると、配当金支払い時に「配当金計算書」が郵送される(東証上場ETFなら「分配金計算書」)。 本来は重要な書類なのだが、配当金の支払い方法に株式数比例配分方式(証券会社受け取り)を選択していると、税引き後の支払金額が******(アスタリスクで埋まっておりブランク)の計算書が届くため、初見だと困惑するかもしれない。 「配当金計算書 アスタリスク」で検索すると信託銀行(証券代行)や証券会社のQ&Aがヒットするが、ここには「株式数比例配分方式を選択している場合はこのようになりま ...

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株価指数

外国株指数の円建てリターンを為替要因と株価要因に分解する

2022/4/30

本稿では、外国株指数の円建てのリターンを、為替要因と株価要因に簡便に分解する方法を紹介します。先日知人に聞かれて「やったことないと分かりにくいかも」と思った事項です。 インデックスファンドにも通じる考え方なので、S&P500やMSCI ACWIに連動する投信を保有していて、基準価額の騰落率を為替と株価に分けて捉えたいという人にも参考になると思います。 月報に基準価額の要因分析を載せる投信も多いものの、外国株インデックスファンドにはほぼ書いていないので。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 「指数 ...

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株式投資

2022年の株式市場見通し(MorganStanley,J.P.Morgan,Blackrock,Invesco)

2021/12/28

年末なので、主要金融機関が公表する2022年の株式市場見通しをまとめます。 個人投資家でもアクセスできるソースが比較的充実しているところをピックアップしました。 最後に執筆者目線での総括も書きます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 はじめに 金融機関の株式市場見通しを見る上での注意点1.1 年末いくらになるかは重要ではない1.2 (セルサイド)個人投資家の目に見えるのは長い長いレポートのごく一部2 各社の株式市場見通し2.1 モルガン・スタンレー2.2 J.P. Morgan2.3 Blackroc ...

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ETF

ビットコインETFの概要を届出書で確認(BITO, ProShares Bitcoin Strategy ETF)

2021/10/16

  2021年10月15日、米証券取引等監視委員会(SEC)によるProSharesのビットコインETF(ティッカー :BITO)承認が報じられました。 日本経済新聞  123 Tweets 4 Users 8 Pocketsビットコイン半年ぶり6万ドル超、先物ETF開始へ(写真=ロイター)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12E7X0S1A011C2000000/【ニューヨーク=大島有美子】暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が15日、 ...

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株式投資

GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのはしょうがない(アセットオーナーとパッシブ運用)

2021/10/1

本稿では「指数に採用されている以上GPIFが恒大集団の株や債券を保有するのは仕方がないこと」という観点から、巨大機関投資家が世界中に分散投資する際に不可欠な「パッシブ運用で面積を取る」という行動について解説します。 その後にGPIFがベンチマークにしている指数について本件と絡めて見ます。 目次(クリックで各項目にジャンプ)1 中華デベロッパーの過剰債務が世界経済を揺るがす2 GPIFの潔い開示はメディアの飯のタネに3 公的年金の資産運用のプロセス :パッシブ運用で面積を取る3.1 政策アロケーション(配分 ...

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取引・配当・コーポレートアクション

株式併合と単元未満株と端株を徹底解説(2020年みずほFGの事例でケーススタディ)

本稿では、株式併合の注意点を解説します。
株式併合といううコーポレートアクションの理解に必要な「単元未満株式の取り扱い」「端数の処理代金」「なぜ会社は株式併合をするのか」についても解説します。

2020年10月1日付けみずほフィナンシャルグループがで10対1の株式併合を行うため、日程や開示の具体例として取り上げます。

株式併合とは

株式併合は、複数の株式を1株に統合するコーポレートアクションです。
5株⇛1株への併合、10株⇛1株への併合というように実施します。
なお、株式併合は英語では"Reverse Stock Split"と呼びます。逆分割=併合という投げやりな表現です。

会社法の規定

株式併合は、会社法第180条に規定された手続きです。

(株式の併合)
第百八十条 株式会社は、株式の併合をすることができる。
2 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 併合の割合
二 株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
四 効力発生日における発行可能株式総数
3 前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
4 取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

詳細は後述しますが、株式併合を行うと単元未満株主が多く発生するため、株主総会で決議するよう定められています。
株式分割は単元未満株主が発生しないため、取締役会決議でOKです。

みずほFGの併合のスケジュール

みずほフィナンシャルグループの事例では、10対1の併合が以下のスケジュールで行われる予定です。他のコーポレートアクション同様、投資家が注意すべきは権利付き最終売買日と落ち日です。

2020年
5月15日 定時株主総会に付議することを取締役会で決議
6月25日 定時株主総会で決議
9月28日 併合前ベースの取引最終日(権利付最終売買日)
9月29日 併合後ベースで取引開始日(併合落ち日)
10月1日 併合の(法的な)効力発生日

株式併合の論点

以下では、単元株制度と1株未満の株式(端株)の取り扱いを解説し、株式併合に付随する論点を整理します。 
ポイントは、併合後の保有株式数が、1単元未満(100未満)になる株主は売買が制限され、1株未満になる株主は対価を金銭で交付され株主としての地位は失うということです。

単元株制度との取引所の売買単位

株式併合の理解には単元株制度の知識が不可欠です。

会社法における単元株式制度

日本の会社法では「単元株式」という制度があります。
株式に額面があった時代の「単位株」のリプレースとして2001年に導入された仕組みです。
端的に言うと、会社が定めた「単元」に満たない株数しか保有していない株主は、株主総会で議決権行使できないという制度です。1単元が100株であれば、100株に満たない株主は議決権行使が制限されます。
会社法では第189条等に定められています。

(単元株式数)
第百八十八条 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
(略)
(単元未満株式についての権利の制限等)
第百八十九条 単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない
(略)

単元株数と売買単位のリンク

単元未満株主は議決権行使は制限されるものの、有効な株式を保有していることには変わりません。
そのため、単元未満でも配当金は受け取れます
ただし、日本の金融商品取引法と証券取引所の規則のもとでは、単元株式数と取引所の売買単位がリンクしています。
現在の東証の有価証券上場規程では、上場会社は単元を100株にするよう定めており、東証における取引も100株単位で行われます。
みずほFGも単元株式数100株かつ東証では100株単位で売買されます。

証券会社の独自サービスとして単元未満株式の売買(「1株から取引OK」を謳うもの)を提供している場合がありますが、これは取引所を通した取引ではなく証券会社との相対取引です。SBI証券のS株はこのケースです。
また、単元未満株式の売買サービスを提供していない証券会社でも、会社法上の制度である会社への「単元未満株式の買取請求」や「単元未満株主の売渡し請求」を行うことはできる会社もあります。例えば、楽天証券は単元未満株式の売買は提供していませんが、上場会社に対する単元未満株式の買取請求は同社経由で出せるようになっています。

端株の取り扱いと端数の処理代金

単元株式と混同されがちですが、株式併合では1株に満たない株式の取り扱いも重要です。

現在の会社法のもとでは、例えば0.5株など、1株未満の株式は存在できません
2006年改正までの商法のもとでは、1株に満たない株式も端株原簿を通して管理する仕組みがありましたが、今はありません。
年配者が端株という言葉を使った時には、旧商法の端株制度の話をしているのか、現在の単元未満株式を指して誤用しているのか注意する必要があります。

併合前にみずほFG株式を5株保有していた株主は、併合後の保有株数は0.5株となりますが、0.5株は存在できません。この株主は、発行会社であるみずほFGから併合後の0.5株に相当する金銭を受領し、併合後は株主ではなくなります
これが適時開示頻出の「端数の処理代金」「端株の処分代金」です。
TOB後の非上場化(少数株主のスクイーズアウト)の過程で、少数株主の保有株数が1株未満になるような極端な比率の株式併合を行うのは、これをやや歪な形で応用したものです。

非常にニッチな話ですが、この端数の処理代金は、配当金と同じタイミングで発生する場合には投資家が選択している配当金の受け取り方法で受領することができます。比例配分を選択していれば証券口座に入金されます。
みずほFGの場合は9月末が中間配当金の基準日に相当するため、おそらく合算して支払われるはずです。非上場化のスクイーズアウトの場合にはこれができません。

併合により単元未満になる株主と失権する株主

上記の単元株制度と端株の取り扱いを念頭に置いて、みずほFGの株式併合を見ていきましょう。

今回のみずほFGの併合は10対1なので、10株が1株になります。
同社の単元株数は100株単位なので、併合前に100株保有していた株主の併合後の株数は10株になり、単元未満株主になります。
これは、100株の株主だけでなく、併合前ベースの保有株数が1,000株に満たない株主は同様です。例えば、900株保有していた株主は併合後には90株になり、やはり単元未満株主です。
これらの株主は、利用している証券会社が単元未満株式の売買サービスを提供していない限り、併合後はすぐにはみずほFG株式を売却できなくなります。
上場会社に対して買取請求を行うか、上場会社から1単元に不足している株式を買い受けたうえで市場売却することになります。

また、併合前の保有株数が10株未満の場合は併合後は株数が1株未満になるため、株主ではいられなくなります。端数の処理代金を受け取り、株主としての地位は失います

上場会社の株主の分布では、零細な投資家は株主数に占める割合は大きいものの、株数に占める割合は低くなりがちです。
みずほフィナンシャルグループでは、2020年3月末基準の株主の分布は以下のとおりです。

出所:2020年5月15日付 株式会社みずほフィナンシャルグループ 適時開示資料

1,000株未満の株主は、株式数ベースでは0.5%にも満たないものの、株主数ベースでは29%を占めます。
この中で「100株以上1,000株未満」の25万人が、本件により単元未満株主となり、「10株未満所有株主」の1万9千人が端数の処理代金を受領し株主ではなくなります。
(10株以上100株未満の株主はもともと単元未満株主)

実際の影響範囲を見ると、会社法が株式併合には株主総会の決議を求めるのも合点がいくでしょう。

会社が株式併合を行う理由

上場会社が株式併合を行う理由は以下の2点です。
上述のスクイーズアウトのようなテクニカルな使い方は射程外です。

株主管理コストの削減

株主数が増えると株主管理のコストが増えます。
上場会社は株主に配当金の通知書や株主総会の議決権関連の書類を郵送しますが、これには株主数に応じた費用がかかります。信託銀行の証券代行部の重要なビジネスです。
このあたりはペーパレスにする余地がありますが、現行の会社法と所得税法のもとでは、株主あての送付物を完全になくすことは困難だったと記憶しています。

最低取引単位のレベル

東証の有価証券上場規程では、上場会社に、投資単位(単元株数×株価)が5万円から50万円になるよう努力義務を課しています。

東京証券取引所 有価証券上場規程
第445条
(望ましい投資単位の水準への移行及び維持に係る努力等)
上場内国株券の発行者は、上場内国株券の投資単位が5万円以上50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。

水準の妥当性には賛否ありますが、上場会社としてはこれに配慮する必要があります。
私見ではそれなりに納得感がある水準だと考えています。ファーストリテイリングや任天堂はこれを真摯に受け入れて株式分割を検討すべき。

おわり 取引の機動性重視

以上です。参考になれば嬉しく思います。

みずほFGの事例で自分が併合前に100株から900株の範囲の株主だったら、いったん売るか1,000株になるよう買い増しておきます。
一般的に、会社に対する買取請求・買増請求はタイミングが限定されます。単元未満株になると取引の機動性が損なわれるため、自分は可能な限り持ちたくありません。
なお、証券会社が単元未満株式の売買サービスを提供している場合はこの限りではありませんが、単元未満株式の売買サービスは手数料率が市場取引よりも高いため、そもそもあまり使いたくありません。
(ただ、この手の単元未満株の売買サービスは手元資金が少ない投資家が任天堂やファーストリテイリングのような単価が高い株式に投資する場合には有効なサービスだと思います。多くの場合、信用買いで金利を払うより有利なはずです。)

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